Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その85 アクティブだった南米での活動 1993年(7)
「あの人は今 (第10回)」JA9IFF中嶋康久氏

JA3AER 荒川泰蔵

アクティブだった南米での活動

2月号の(その83)で紹介させて頂いた「蓄音機とラジオ企画展」は、3日間で240人以上の入場者を迎え、成功裡に終了しました。参加頂いた皆さん、どうも有難うございました。シャープのブログと、社友会のホームページにその記事がありますので、ご覧ください。
シャープのブログ  ◎社友会HP
それに先立つ2月某日、Masacoさん達取材班が、シャープミュージアムを取材に来られ、「Masaco、大人の社会科見学! 第2話」に掲載されましたので、合わせてご覧ください。

さて、筆者は6大陸中、南米にはまだ行ったことがなく、日本からは地球の裏側にある遠い大陸だと感じていますが、1990年代にはJICA青年海外協力隊員などを含め、多くのアマチュア無線家が南アメリカで活躍されました。今回はその南米の紹介です。尚、今月の「あの人は今 (第10回)」は、サッカーのワールドカップがあれば、南米のブラジルまででも出かける、大のサッカーファンでもあるJA9IFF中嶋康久氏の紹介です。

1993年 (仏領ギアナ FY/JH4NMT)

JH4NMT松田佳之氏はカリブ旅行で、仏領ギアナでFY/JH4NMT運用した経験を、アンケートで寄せてくれた(写真1)。「FY5YE, Marioの別宅から運用、HFのCWで約200局とQSOしました。カリブ海旅行が目的でドライブなどを主にしたので、あまり運用に重点を置きませんでした。仏領ギアナは全然開発がなされておらず、観光という程のものは殆んどありません。仏アエロスパシアル社の、アリアンロケットの発射場などが有名です。(1994年2月記)」


写真1. FY/JH4NMT松田佳之氏のQSLカード。

1993年 (ブラジル PS7ZWR)

JR2BEF鈴木康之氏はブラジルの免許PS7ZWRを取得したと、そのコピーを添えて手紙で知らせてくれた(写真2及び3)。「1993年4月にPYの免許を取得しました。免許はPY-Wの相互協定を利用しました。関係者の話では、日本人で6人目の免許だそうです。3年近く有効ですが、この免許の有効期限が切れるころまでには日伯間で相互運用協定が出来ることを祈ります。免許の資格には3種類あって、オールバンド1kW p.e.p.のクラスA, 1.8と3.5MHz 1kW p.e.p.のクラスB, 7MHz 100W p.e.p.のクラスCに分かれています。サフィックスがZから始まるものは外国人(非ブラジリアン)用、同じくWから始まるものはクラスCまたは年令が14-18才のオペレーター用です。私はWの免許の操作範囲からクラスAとなりました。また、サフィックスのZWRですが、Wの免許のプリフィックスWRからこのようになったみたいです(ZJAだったらよかったのですが、現地在住の日系人がお使いのようでしたHi)。私の免許は「移動局」と「固定局」の両方が同じコールで指定されています。移動局は島嶼を含むブラジル全域で有効です。例えばPS7の対岸のフェルナンドデローニア島ではPS7ZWR/PY0Fというような形で運用ができます(この島を常置場所に外国人が免許を得るとPY0ZF*という形になるそうです)。またリオネジャネイロではPS7ZWR/PY1とIDすることになります。(1993年5月記)」


写真2. PS7ZWR鈴木康之氏の固定局免許状と移動局免許状。


写真3. PS7ZWR鈴木康之氏の従事者免許証と納税証明書。

1993年 (ボリビア CP1OZ, CP1XJ, CP1/JA1GZV)

JE6OXU西山勉氏は、ボリビアでCP1OZの免許を得て運用された経験をアンケートで寄せてくれました(写真4及び5)。「1993年8月よりボリビアの首都ラバスより、ツエップアンテナとFT-850(100W)を使用し運用を開始しました。1994年2月末アンテナを地上高40mの3エレトライバンド八木とマルチバンドDP(2MHz-30MHz)へグレードアップし運用しております。開局申請は、各都市のラジオクラブへ申請を提出し、コチャバンバにあるラジオクラブの本部を経由し電波管理局へ送られ免許が下りるため若干時間がかかり、約2ヶ月が必要です。ラバス市のラジオクラブの秘書はとても親切で好意的です。(英語より西語で問い合わせる方が良いかと思います)。申請に必要な書類等は次の通りです。1) 申請書。2) ボリビア公式文書用表紙。3) 写真3枚(4x3)。4) パスポート又はボリビア政府発行の身分証明書のコピー。5) 日本の免許(局免許、従事者免許)の英文証明書。6) 申請費用 US$250。7) ラジオクラブ年会費 US$60です。( 1)と2)はラジオクラブにて入手可、7)アマチュア無線家は全員ラジオクラブに所属しなければならない。) 免許は申請した年から3年目の12月31日まで有効です。また、暫定免許(コールサインはCP1/JE6OXUの形式)もあります。これはラジオクラブの許可だけで運用することが出来ます。この暫定免許は3ヶ月のみ有効で手数料は必要ありません。なお、免許の種類は 1)ノビス級(3.5MHz以下28.8MHz以上の周波数のみ可)。2) 一般級(総て可)の2種類があります。私は日本の1アマで申請したので、一般級の免許が貰えるのですが、日本の局免が50Wのためか、電波管理局の誤りで、周波数制限のあるノビス級で免許が下りてしまいましたので、免許の訂正をお願いしました。しかし、訂正された免許も再びクラスが誤っており、オールバンド、オールモード、総て許可の“ノビス級”という大変珍しい免許を持っていますHi。ラバス市内には無線ショップも多く、米国より直輸入ができ、日本メーカーの無線機や米国メーカーのアンテナが、日本より安い価格で入手できます。私も市内のショップを利用しアンテナを購入しましたが、納期が2ヶ月遅れました。QRTしている間にラテン社会の“Hastamanana”(また明日!)の習慣を痛切に感じました。また、無線機の中古品は日本と比べるとかなり高い価格で売られています。一般的に日本と南米は良好なパスを持っているのですが、ここラバスはすり鉢状の地形をしており、その上日本の方向にはアンデスの高い山等で囲まれているため、あまり日本と伝播状況は良くないようです。(1994年8月記)」そして同時に、CP1XJ(JR6JNZ)高田氏のシャックでの写真とQSLカードを送ってくれていたので、ここで紹介しておきます(写真6)。


写真4. (左)CP1OZ西山勉氏と、(右)CP1OZ西山勉氏のQSLカード。


写真5. CP1OZ西山勉氏の免許状の表と裏。


写真6. (左)CP1XJ高田氏と、(右)CP1XJ高田氏のQSLカード。

JA1GZV魚留元章氏は、ボリビアの免許を取得して運用した経験をアンケートで知らせてくれた(写真7及び8)。「チリに電気通信の技術協力のため1991年より約3年間滞在していたので、休暇を利用してボリビアの首都ラパス(La Paz)に出かけ、運用しました。短期間の滞在でもあり、日本の免許(JA1GZV)をベースに通信主管庁であるDGT (Direccion General de Telecomunicaciones)からCP1/JA1GZVの臨時運用許可を得ることが出来ました。なお、現地政府から身分証明書(Carent de Identificado)または永住許可が得られる場合は、現地コールを受けることが出来るようです。その場合、免許申請にあたっては、先ずクラブに入会し、免許申請は総てクラブ経由で行うこととなっています。(1995年11月記)」


写真7. CP1/JA1GZV魚留元章氏のQSLカード。


写真8. (左)CP1/JA1GZV魚留元章氏の運用同意書と、(右)運用許可証。

1993年 (パラグアイ ZP5/JA1GZV)

JA1GZV魚留元章氏は、パラグアイの臨時運用許可を取得して運用した経験をアンケートで知らせてくれた(写真9及び10)。「チリに電気通信の技術協力のため 1991年より約3年間滞在していたので、休暇を利用してパラグアイの首都アスンシオンに出かけ運用しました。短期間の滞在であり、日本の免許(JA1GZV)をベースに通信主管庁であるANTERCOから約3ヶ月間の臨時運用許可を得、ZP5/JA1GZVのコールサインで、友人宅及びRCP(Radio Club Paraguayo)の中央局ZP5AAからQRVしました。現地政府から身分証明書(Carnet de Identificado)または永住許可が得られる場合は、現地コールを受け取ることが出来るようです。ただ、外国人にはサフィックスXで始まる3文字コールが割り当てられます。(1995年11月記)」


写真9. (左)ZP5/JA1GZV魚留元章氏のQSLカードと、(右)ZP5AAのシャック。


写真10. ZP5/JA1GZV魚留元章氏の運用許可証。

1993年 (ウルグアイ CX2BP)

JA1GZV魚留元章氏は、ウルグアイの免許を取得して運用した経験をアンケートで知らせてくれた(写真11)。「チリに電気通信の技術協力のため 1991年より約3年間滞在していたので、出張や休暇を利用してはウルグアイの首都モンテビデオに出かける機会も多いことから、チリの免許(XQ3CJ)をベースに先ず臨時免許を取得し、その後CX2BPの正式免許を取得しました。一般的に日本人がウルグアイで運用する場合、日本の従免、局免の写し等証明資料を添付して申請すれば、CX/JAxxxx の形で臨時免許が発給されます。現地コールを希望する場合、政府発給の身分証明証(Carnetde Identificado)が必要です。ウルグアイのアマチュア局は、約6,000局余りですが(1996年4月現在)、実際に運用している局はその半分以下と思われます。種別は、Superior(特別級)、General(一般級)、Intermedia(中間級)、Novicio(初級)の4種類です。コールサインのシステムは、LUと同様サフィックスの最初が地域を表し、数字は割り当ての順であまり重要な意味を持ちません。首都のモンテビデオは、サフィックスの最初がA, B, Cですが、数年前から首都圏ならびに近郊地域では、2文字がなくなり、3文字のサフィックスが割り当てられています。チリも含め、中南米各国のアマチュア局の制度はよく似ていて、上級にステップアップするには、下級での一定期間の経験年数と海外局との交信で得た一定のQSL所持枚数の証明がないと受験資格がなく、また、衛星通信は、Superiorまたはその監督の下でないと運用できないなど経験年数と各級別のステータスを重視したものになっています。ウルグアイからは主として10MHz帯を中心に運用しましたが、中南米からはCWでのQRVが少なく、北米、ヨーロッパ方面やJAから相当パイルアップを受け、コールをピックアップするのが大変でした。(1995年11月記)」


写真11 (左)CX2BP魚留元章氏の最初の免許状と、(右)更新後の免許状。

1993年 (アルゼンチン CE3CJ/LU)

JA1GZV魚留元章氏は、アルゼンチンの免許を取得して運用した経験をアンケートで知らせてくれた(写真12及び13)。「チリに電気通信の技術協力のため 1991年より約3年間滞在していたので、出張や休暇を利用してはアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに出かけ、チリの免許(XQ3CJ)と日本の免許をベースに許可申請をしたら、日本との間には相互運用協定が結ばれていないが、チリとの間には結ばれているので、このチリとの協定の適用によりCE3CJ/LUのコールで、全バンド、モードで出力1kWまで許可されたSuperior級の正式免許を得ることが出来ました。アルゼンチンの場合は、電気通信一般法により、外国人の場合の現地コールの取得は困難なようです。RCA(Radio Club Argentino)の中央局LU4AAのシャックを借りてHF帯でQRVしましたが、やはり1kW出力とTH6DXXの威力は素晴らしく、南米では雑魚のLUですら、ヨーロッパからのパイルには嬉しい悲鳴でした。(1995年11月記)」


写真12. (左)LU4AAのシャックにて、現地のハム達とCE3CJ/LU魚留元章氏(左端)。 (右)LU4AAで運用する魚留元章氏。


写真13. CE3CJ/LU魚留元章氏の免許状。

「あの人は今 (第10回)」JA9IFF中嶋康久氏

IOTAアワードの日本におけるCP(チェックポイント)として、東京や関西でのアマチュア無線フェスティバルでQSLカードのチェックサービスを行いながら、IOTAアワードの普及に努めてこられたJA9IFF中嶋康久さんの、ドイツとオーストリアでの記事は(その34) 2016年2月号に、ウィーンの国連機関での記事は(その37) 2016年4月号に、スイスとオーストリアでの記事は(その44) 2016年11月号に、フランスでの記事は(その43) 2016年10月号に、ポーランド、ハンガリー、国連ITU本部での運用は(その66) 2018年9月号に、ニューカレドニアでの記事は(その70) 2019年1月号で紹介させて頂きました。また中嶋氏は2015年1月号の今月のハムにも紹介されています。その中嶋氏から当時の思い出を含む近況を、アンケートでお知らせ頂きましたので紹介させて頂きます(写真14)。


写真14. (左)東京ハムフェア2018のIOTAブースでの中嶋康久氏(中央)。
(右)関西アマチュア無線フェスティバル2019のIOTAブースでの中嶋康久氏。

「1984年から1988年に旧西ドイツのシュツッツガルトに赴任し、1985年にDJ0KEの免許を取得し運用しました。1988年に帰国後はサイクル22、23、24で、DXCCはYV0 Aves Is.を残すのみとなり、1993年から始めたIOTAへの挑戦も1000島を越え、目標としていたIOTAトロフィーを取得したため、近年はアマチュア無線への情熱も少し冷めてしまい、アクティビティーも落ちてしまいました。その間、赴任先で観戦したサッカーブンデスリーガーから、サッカー観戦熱が高まり、2002年の日韓ワールドカップを皮切りに、2006年ドイツ・2010年南アフリカ・2011年ドイツ(女子)・2014年ブラジル・2015年カナダ(女子)・2018年ロシア・2019年フランス(女子)大会に夫婦で観戦に出かけて来ました。もちろん、地元横浜のサッカーチームも応援しており、2016年に定年退職後はアウェーの試合にも出かける様になり、大学生時代に旅行した土地を三十数年ぶりに訪れると言った様な経験をしています(写真15)。


写真15. (左)FIFA女子ワールドカップ・フランス2019の日本vsイングランド戦が行われる、ニース・スタジアムで中嶋康久氏夫妻とその友人(右端)。
(右)FIFAのインタビューを受ける中嶋康久氏夫妻。

2008年頃からJT65という新しいデジタル通信方式が提供されましたが、運用している局も少なく一交信が終了するのに4分も必要となるので、これならばCWの方が良いやとメリットを感じず、しばらく気にもしていませんでした。ところがJT65を改良したFT8というモードが提供され、交信時間が最短1分で完了することと、CWでは聞こえない様な信号の局とも交信が可能になるので、早速免許変更申請を行い運用してみると、サイクル24のサンスポット極小期でもワールドワイドに交信が出来ることが判り、2019年初め頃より本格参戦を始めました。週末ともなると、どのバンドにもウォーターフォールが沢山見え、アパマンハムのモービルホイップでも割と容易に交信が出来る様になりました。運用をしていると、時々「スプリアスが出ている」と指摘されるので、本当に送信側の問題だろうかと調査をする事にしました。まず、知人局に自分の送信電波に高調波が出ているのかどうか、帯域幅が広がっていないかを調べてもらいました。ALCを少し振らせても、振らせない様にしても変わらず、高調波は出ていないし帯域幅も広くなく大丈夫との事で安心して運用していましたが、又「スプリアス」と言われたので、知らせてくれた局(コールサインは言わずに当方の送信周波数でIMAGEとかCHK ALCとかのメッセージのみ)の受信レベルを見ると、+14~+18dB位で入感しているので、かなりローカルの局だという事がわかりました。「スプリアス」と言ってくれた局のウォーターフォールを見ると同じ様にx2~x5の高調波が出ているではありませんか! これはもしかしたら受信側で飽和しているのではないかと思い、Pre AMP ONをATT -12dB程度まで絞ってみると、綺麗にx2~x5の高調波が軽減もしくは消えるではありませんか。AGC ONでも強入力信号のレベルを抑える事は出来ますが、肝心の目的信号レベル値が抑えられてしまい、正しいレポートになりません。さらに、+10dB程度のFT8信号二波を受信すると同様に、基本波の高調波と二信号相互変調による差分周波数による高調波が3KHzの帯域中に広がっています。もちろん三波以上になれば、さらに相互変調による高調波が格段に増えることになります。

これが原因では!? 当局で使用している無線機はICOMさんでも修理を受付けてくれなくなった二十数年前のモデルですので、受信性能も現代のモデルと比較しても、使えなくはないが十分ではないと考え、個人で無線機性能を比較したサイトで探してみると、二信号受信ダイナミックレンジ性能(2kHz)で判定可能と思い調べると、現有セットは74dBに対し、最新モデルのIC-7851は105dBと桁違いに改善されており、FT8を今後も運用するならばそろそろ買い替え時かと思い始めました。しかし、IC-7851の性能が良いとしても価格が100万円を越えるので、おいそれと購入する事は出来ません。IC-7610だと98dBで、約30万円かあ。うむ、思案のしどころです。それまでは、現有モデルで、「AGC OFF」、「Pre AMP OFF」、必要に応じて「ATT ON」にし、なるべく高調波を帯域外に追いやる様に1500Hz以上にして、ご迷惑を掛けない様に、買い替えまで、ダマしダマし使うことにします(写真16)。次のサイクル25の始まりをうかがわせる黒点が2019年11月初めに観測されましたので、アマチュア無線の熱が大々的に復活しそうです。(2019年11月記)」

尚、中嶋さんのIOTAのホームページは、次のURLでご覧頂けます。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/ja9iff/iota.html


写真16. (左)FT8のセットアップをした中嶋康久氏のシャック、無線機の下はJE1VDN固定局用、上はJA9IFF移動局用のリグ。
(右)遠くに横浜ランドマークタワーが望めるルーフバルコニーに設置した中嶋康久氏のアウトバッカーアンテナ。

海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~ バックナンバー

2020年4月号トップへ戻る

次号は 12月1日(火) に公開予定

サイトのご利用について

©2020 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved. 発行元: 月刊FBニュース編集部