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海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その115 中国に返還されたマカオから記念コールで運用 1999年(1)

JA3AER 荒川泰蔵

中国に返還されたマカオから記念コールで運用

今回は1999年のアジアです。マカオはこの年の12月20日に、ポルトガルから中国に返還されました。この時マカオを訪問した4人の日本人ハムが、マカオの免許を得て、返還記念コールサインXX9SARでQRVした紹介の他、香港、西マレーシア、モルディブでの運用の紹介です。尚、今月の「あの人は今(第40回)」は、JH4EWS児玉真一氏の紹介です。

1999年 (香港 VR2ZYO, VR2OA)

JA6CVK萩原靖司氏は、香港で受験して免許を得たと、香港の試験事情を知らせてくれた。「返還前の香港ではRAEの問題(30問を1時間)を使って、イギリスと同じ時刻に試験が行われていましたが、中国返還後は香港独自の問題で、法規と工学の合計100問を3時間で解くものに変わりました。問題の難易度は日本の2アマ程度を中心に少し難しい問題とやさしい問題との混在で、全体の傾向としては、実際の運用を主眼に置いた問題が多く、インターフェアレンス対策関連の問題も多い様です。3月13日、試験会場の方泉堂ホールでは約300人が受験しました。皆香港の人たちばかりで、外国人の受験者は私1人でした。OFTAの問題はやはりRAEとは問題の出し方が変っており、約3分の2が新傾向の問題でした。100問中工学が80問、法規は20問でした。試験から2週間目にOFTAから合格通知が届き、すぐにATOの申請を行いました。(ATOは無線電台操作授権證明という6x9cmのパウチに入った従事者免許に当たるものです。有効期間は5年間)VR2ZYOのコールを貰ってこれで50MHz以上のバンドでの100Wでの運用がOKとなりました。そして4月29日CWのテストの日となりました。CWテストは毎月1回OFTAの会議室で行われています。1回の定員は7名。内容は毎分約60字の普通文3分間、暗語3分間と数字1分半の受信及び送信です。受信の合格基準は普通文、暗語とも最大4文字、数字は2文字の誤字、脱字までが合格、それを1文字でも超すと不合格となります。送信の試験は受信を合格した人に対してのみ行われます。試験官が2名正面に座り、1人がモニター画面で符号を確認、もう1人は音響受信をして送信が正しく行われたかをチェックすると言うスタイルで行われます。送信は1文字でも誤送信、脱字のままで終われば即失格です(訂正は受信時と同じ個数まで可です)ので緊張しましたが、お蔭様で訂正無しで送信完了する事が出来ました。これで待望のクラスAです。早速コールの申請を申し入れ、VR2OAを戴きました。香港居住者証明書(HKID)が無いと、試験に合格しても局の免許はもらえません。日本からは近い外国の香港です。VR2からの電波が聞こえておりましたら、QSOよろしくお願い致します。(1999年6月記)」

1999年 (マカオ XX9SAR, XX9TSS, XX9TVI, XX9TND, XX9TUH)

JK2PNY河津基氏は、1999年12月19日発行のニュースレター「こちらはXX9SAR」でマカオでの運用を知らせてくれた(写真1~5)。「ポルトガル領マカオが、1999年12月20日より中華人民共和国澳門特別行政区となります。しかし、1997年7月1日の香港返還の時は、日本でも報道が多かったのに、今年はなぜか静かですね。返還に合わせてハムをしに行こうと連絡したら、友人のXX9CHが引っ越したばかりの古いアパートを、3エレ八木アンテナのついたまま貸してくれました。12月14日から27日まで、7K1OUO佐藤いづみさんと一緒に無線三昧をしています。今回は初めて数千局との交信を、コンピューターを使って記録しています。QSL発行が楽になりそうです。中国への復帰を記念して、マカオのアマチュア無線家は、半年ほど前からXX9SARのコールサインで運用できるようになりました。届け出も不要で自由に使えるコールサインなので、マカオのあちこちで同時にXX9SARのコールが聞こえます。(1999年12月記)」


写真1. (左)JK2PNY河津基氏が定期的に発行される、ラジオスカウティングのニュースレターの一部分。(右)XX9SARのQSLカードの表と裏。

続いて2000年1月22日発行の「こちらはJK2PNY」でもマカオの運用を知らせてくれた。「12月15日にXX9CHが以前住んでいたアパートでXX9TSSを開局しました。FT-920とFL-7000を使って検査を受け、マカオの最高出力600Wの免許を受けました。持回りの返還記念コールサインXX9SARで運用し、14, 24, 28MHzを中心にSSBで1,328交信、CWで1,118交信できました。マカオでアメリカの免許を持たない同行者にゲスト運用させようと計画していたところ、香港と違って出来ないと郵電司(CTT)で言われました。しかし、その場で7K1OUOの1アマの免許証を見せて交渉すると、最近10年間誰も受けられなかった日本の資格をもとにした運用が許可され、XX9TVIのコールサインの入った1ケ月の免許証が発行されました。数日後に到着したJO3TND足立太郎氏と7N2KUH大野泰生氏にも、それぞれXX9TND, XX9TUHのコールサインが割り当てられました。(2000年1月記)」


写真2. XX9TVI佐藤いづみさんの臨時従事者免許証の表と裏。


写真3. (左)XX9TVIのコールサインで運用する佐藤いづみさんと、(右)そのQSLカードの表と裏。

その後その記事に付いて河津基氏に問い合わせたところ、写真と共に当時の思い出や裏話などを、メールで知らせてくれた。「当初、マカオで臨時免許を申請できるアメリカの資格を持たない3人にはゲスト運用をさせるつもりでした。ところが、マカオにはそんな制度はないと郵電司(CTT)で言われ、同時に日本の免許はないのかと尋ねられました。7K1OUOが日本の従免を携帯しており、その場でOKと言われ臨時免許を受けました。Tで始まる3文字のサフィックスを決める際、とっさに7K1OUOが「TVI」を希望しました。マカオでは送信機1台ごとに落成検査が必要で、かなりの検査料が発生します。今回は2台申請しました。他局を訪問して自分のコールサインを使う分には検査不要なため、4人のうち1人だけが検査を受けました。(2021年11月記)」


写真4. (左)XX9TSS河津基氏が得た固定局用無線機FT-920の免許状の表と裏。
(右)同じく移動局用無線機IC-706の免許状の表と裏。

アマチュア担当職員のXX9KK陳権基氏は、1994年に東京で開かれた、アジア・太平洋電気通信共同体(APT)のアマチュア無線セミナーに参加しており、5年ぶり? の再会だったと分かりました。当時私はJARL国際課でアルバイトをしていて、Reg.3各国の主管庁から届いたアマチュア局関係の資料を参加者用に綴じたり、会場で手伝いをしたりしました。会場で8N1APTを運用した記憶もあります。これに合わせ、2アマ以上の指揮のもとに海外の資格を持つ人が運用できる局を、開局しやすくするための法改正がありました。(2021年11月記)」


写真5. (左)マカオ返還に伴う閉庁日に、郵電司(CTT)の職員XX9KK陳権基氏(写真中央)がアパートまで来てくれて、後発組の2人にもXX9TNDとXX9TUHの免許を交付してくれた。
(右)1999年12月にマカオを訪問した4人が揃って、左からXX9TUH大野泰生氏, XX9TVI佐藤いづみさん, XX9TSS河津基氏, XX9TND足立太郎氏。

1999年 (西マレーシア 9M2XA)

JF4WPQ児玉真一氏は仕事でマレーシアに駐在中に、マレーシアの9M2XA免許を得て運用したが、免許の取得に苦労したことを、アンケートで詳しくレポートしてくれた(写真6及び7)。「コールサイン取得までの一部始終を紹介します。マレーシアにおける外国人の免許は、仮に9M2/ホームコールを与えられ、従来のような9M2xxのコールサインはもらえないとあきらめていたところ、局免許の更新時期に業務ビザが更新されていれば待望のコールサインが与えられると判り、期限がまだ4ヶ月残っていたものの、駄目もとで直接交渉の為にテレコムに出向き交渉開始。担当者は9M2xxのコールサインは出せないと言っていましたが、少しばかりそんなはずはないと粘っていたところ、他の職員が出せるはずだと言い寄って来てくれて、闇の中に一点の明かりを見つけたような気分でした。その結果、パスポート、業務ビザ、新規の局免許申請書を作成し、責任者との面談をするように言われ、アポイントを取り、うきうきとその場を離れました。第1回目 2月中旬の出来事です。

会社の業務調整を何とか行い、約束の日に必要書類を持っていくと、本日有給休暇で休みであると告げられ、結局何も出来ず担当者と少しの会話の後、帰路につきました。顔で笑って心で怒り狂っていました。というのも念には念をと思い約束の時間設定も前日に行い万全を期していたのに、これでは当日に居ることを確認しないと駄目ではないか。以降なかなか業務の調整がつかず、しばらく悶々とした日々を過ごしました。第2回目 1週間後の出来事です。

とある金曜日のローカルメンバーを交えた(正しくはローカルメンバーに外人を交えた)定例ミーティングで、テレコムのオフィスが近じかクローズされるので早く処理を終える必要が有るとの情報のもと、無理をしてでも翌日行くこととしましたテレコムに顔が利く9M2KTと9M2SKが一緒に行ってくれることなり、まずは一安心。第3回目 3週間後の出来事です。

約束より少し早めに到着し、2mのリピーターで連絡を取り現在向かっていることを確認し一安心。結局20分遅れでテレコムのオフィスへ入りました。しかしながら面談が出来たのはそれから更に遅れること1時間、すべてがアバウトで我々日本人にはイライラのしどうしでしたが心配していた面談も世間話で終わり、何とか正規のコールサインを貰える事を最後に確認して部屋を出ました。その場ですぐに手数料を払い、手続きを行い口頭での運用許可も戴きました。1999年3月13日の出来事です。

その後、待てど暮らせど、免許状が届かず、問い合わせをしたくても事務所の統廃合で既にペナン事務所はクローズ。KLの事務所に問い合わせても書類が見当ら無いとの事、どうも引き継ぎ、引越しの際に申請書を紛失 !? 気を取りなおして仕事でKLに行った際に事務所に立ち寄り状況を説明した所、書類は無いがコンピューターにデーターとしては有る事が判りました。それもそのはず口頭での許可を受けた時には既にデーター入力も済み、税金等の料金支払いすべて完了していたのだから・・・。控えとして持っていた領収書のオリジナルの通し番号と免許の番号とが一致し、その場で免許を発行してもらうことが出来ました。一連の作業を振りかえって見ると、先ずローカルメンバーの協力なしには免許の取得もままならなかったと思います。しかしながら最後は自分自身で解決しないとゴールまでたどり着かない事も身をもって体験しました。海外で免許を得るには忍耐と努力、不屈の精神が必要不可欠です。


写真6. (左)9M2XA児玉真一氏の免許状。(右)9M2XA児玉真一氏のQSLカード。

シャックが家族と共存するリビングルームにある為、遠慮などで、かなり運用の制限がありますが、皆が朝起きる前に出きるだけ運用するようにし、極力ファミリーインターフェアレンスが起きないように努めながら楽しんでいます。住んでいるアパートが美観にうるさく、洗濯物もベランダに干せない状態の為に、運用しないときはアンテナをベランダ内に収納できる形態とし、目立たないアンテナでオンエアしています。(1999年11月記)」


写真7. (左)9M2XA児玉真一氏が住む高層アパート。(右)9M2XA児玉真一氏のベランダアンテナ。

1999年 (モルディブ 8Q7YS)

JA2SWH佐竹康雄氏は、モルディブで免許を得て運用したとアンケートを寄せてくれた(写真8)。「モルディブでの免許取得は直接、首都のマーレにあるTelecommunications Departmentに行って行いました。免許申請に必要な書類は、1. 指定の免許申請書、2. 日本の従事者免許証と免許状の英文証明書、3. 免許料(3ケ月で120ルフィア)です。オフィスで直接申請し、待つこと約30分でライセンスの準備が出来ました。コールサインは空いていれば希望のものが貰えます。ライセンスは1年と、テンポラリーの3ケ月の2種類ですが、居住者以外は1年のライセンスが貰えません。但し3ケ月ライセンスは、3ケ月毎の更新が出来ます。


写真8. (左)モルディブの免許申請用紙。(右)8Q7YS佐竹康雄氏の免許状。

今回は3回目のモルディブ訪問で、初めてのアマチュア無線運用でした。4月30日から5月2日までの3日間でしたが、スリランカから約1時間のフライトですから簡単に行くことができます。今回は海でシュノーケリングをすることが目的の半分で、あとの半分がハムでした。コールサインは8Q7YSですが、ライセンスは前回3月にモルディブ観光の際にもらったものです。1日目のシュノーケリング遊びを終えた夕方からアンテナ設営に入り、暗くなってからやっと運用することができました。今回は椰子の木に引っ掛けた高さ約5mのダイポールでの運用でしたので、あまり飛びは良くありませんでしたが、ヨーロッパからはパイルアップでした。2晩の運用で約100局とのQSOでした。次回はもっと本格的な装備でハムをやる気で行こうと思います。今度は8月頃の予定で、秋には50MHzでJAとQSOするため8Qに出かけようと計画しています。(1999年5月記)」

「あの人は今 (第40回)」JH4EWS児玉真一氏

今月号の西マレーシアの項で紹介した9M2XA児玉真一氏の、9M2/JF4WPQの運用については(その111) 2022年6月号で紹介させて頂いています。児玉氏は現在東広島市から、西マレーシア時代のJAのコールサインJF4WPQをJH4EWSに変更してQRVしておられますが、その児玉氏から、近況を知らせて頂きましたので、ここで紹介させて頂きます(写真9及び10)。「2001年に5年間の勤務を終えてマレーシアから帰国しましたが。滞在期間中に9M2/JF4WPQそして9M2XAのライセンスを受けて無線を楽しんで来ました。帰国に際しては、ペナンのローカル各局に送別会まで開いて頂き、楽しい思い出に幕を閉じました。


写真9. 9M2XA児玉真一氏が帰国に際してペナンのローカルハムが開いてくれた送別会。
(左)写真中央は長老9M2FK, Esheeさんから餞別を受け取る9M2XA児玉真一氏。
(右)9M2XA児玉真一氏を囲んで送別会での集合写真。

帰国後は一戸建ての条件ではあるものの、残念ながらタワーを建ててビッグアンテナを上げられる環境では無く、ベランダに(9M2よりショボイ)3.5/3.8/7のリニアローディングのバーチカルを建ててQSO出来る状態にしているもののアクティビティは皆無に近く、現在にまで至っています。とは云うものの、無線と完全に無縁になっているわけではなく、アマチュアレベルのNVA(ネットワークベクトルアナライザー)を手に入れてスミスチャートを習得すべく遊びながらNVAと格闘しています。QSOによるアクティビティはないものの、NVAやFT-101E/75A4/R388等往年の名機に触れ時々メンテナンスすることを楽しんでいます。


写真10. (左)往年の名機も並ぶJH4EWS児玉真一氏のシャック。
(右)NVA(ネットワークベクトルアナライザー)で見る3.8MHzのアンテナ特性。

又、戦前のシャープ製並四ラジオをレストア、断線しているスピーカーのボイスコイルの巻き直し等も行い動作状態で会社のショールームに寄贈展示。レストア可動品を歴代商品の一番先頭に鎮座させて貰っているなんて誰も知らない中、一人悦に浸っています。帰国後はこのような「アマチュア無線の楽しみ方」で過ごしています。(2022年2月記)」

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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