Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~

その94 今回の記事は1994年のアフリカ 1994年(5)
「あの人は今(第19回)」JF1SAG松岡良樹氏

JA3AER 荒川泰蔵

今回の記事は1994年のアフリカ

今回は1994年の5回目でアフリカですが、月刊ファイブナイン誌を主宰するJA1ELY草野利一氏の同誌創刊10周年記念「インド洋ペディション」も含んでいます。昨年のモーリシャス沖での、日本の貨物船の座礁によるオイル流失で、美しい自然が破壊されていることに心を痛めています。尚、今月の「あの人は今(第19回)」は、JF1SAG松岡良樹氏の紹介です。

1994年 (チュニジア 3V8BB)

JI1HUC池内修氏は、JICAでチュニジアに駐在中に、チュニジアで唯一のアマチュア無線局3V8BB局を開局した経験をアンケートで寄せてくれた(写真1及び2)。「JAメンバーによって、3V8BBの開局にこぎ着けた。チュニジア通信省は、チュニジアの団体(学校、青年の家など)のクラブ局に対して運用を許可するが、個人局(外国人を含む)、移動局は不可と言っている。外国人はゲスト・オペが出来る。運用したい局の責任者が許可すれば、その局の操作範囲内でQRVできる(今までに日本人、フランス人、ユーゴスラビア人、ドイツ人、ハンガリー人が運用)。ユーゴスラビア人YT1AD以外のQSO分はJF2EZAがカードを発行している。しかし、今後どうなるか分らない。ゲスト・オペが増えた場合、各自が発行することになったり、一部チュニジア人から発行することになるだろう。各オペレーターのQSLインフォをしっかり聞いてもらう必要がある。私のQSO分は、全てJF2EZA小栗氏にお願いします。チュニジアでゲスト・オペなさりたい方は、直接クラブ局へ連絡し、許可を得て下さい。運用の時に持って行くものは、パスポートのコピー、日本の免許のコピー、運用スケジュールです。現在無線機は1台しかありませんので、専有せず、うまく調整しながら運用されることを望みます。首都チュニスから車で30分(タクシーで約600円)の町、Bri-El-Beyにあります。チュニジア観光のおまけに、ここからQRVするといいと思います(現在3V8BBしかありません)。(1995年8月記)」


写真1. (左)JI1HUC池内修氏達が立ち上げた3V8BBのシャックと、(右)そのアンテナ。


写真2. JI1HUC池内修氏達が立ち上げた3V8BBの免許状。

1994年 (モロッコ CN8TM, CN8MC)

JR2ITB森猛氏はJICAでモロッコに駐在中にCN8TMの免許を得て運用したとアンケートを寄せてくれた(写真3~5)。「青年海外協力隊員としてブルンジ(9U)へ派遣される予定でしたが、クーデターによりモロッコの漁業海運省に配属されました。免許手続きは王立アマチュア無線協会(ARRAM)で行い、コールサインの発行は会長のムスタファ氏(CN8MK)が行っているようです。私は彼と面談してコールサインがその場で決定しました。申請してからは警察の調査等の手続きがあり、地方に住んでいるため時間がかかりました。それでも3ヶ月ほどで取得でき、ARRAMの会員にもなりました。コールサインは以後ずっと使えると協会の人は話していましたが、終身という意味かどうか、再び来てみないと確認はできません。現在、無線機がないので入手に苦労しています。これはモロッコのハムにもいえることで、私の近所のハムもリグがないためにオンエアーできず、リグを頼まれているくらいです。そのため運用は首都ラバトへ行った時にARRAMのCN8MCを利用しています。7-28MHzと144MHzが運用できます。8月から開始して9月のヨーロピアンコンテストに参加しました。来年12月までには個人コールで運用する予定です。PTTへの申請はARRAMで代行してくれたようです。また、CN8MCは無休で8:00~18:00まで運用できます。手数料は全部で250DHでした。(1994年10月記)」


写真3. (左)王立アマチュア無線協会(ARRAM)の事務所にて、会長のCN8MK, ムスタファ氏とCN8TM森毅氏。(右)CN8TM森毅氏の免許状。


写真4. CN8TM森毅氏のQSLカード2種。


写真5. (左)ARRAMのクラブ局CN8MCのシャックにて、職員のカセム氏ご夫妻とCN8TM森毅氏。(右)CN8TM森毅氏のARRAM会員証。

1994年 (カナリア諸島 EA8/GW0RTA/P)

JA3AER筆者は休暇でカナリア諸島を旅行し、EA8/GW0RTA/Pを運用した記録を残していた(写真6~8)。「1994年12月24日から29日まで冬季休暇を利用して、家内(JG3FAR)とロンドンの日通旅行社が企画したルックワールドに参加、カナリア諸島7島の内のグラン カナリア(Gran Canaria)へ出かけました。グループツアーと言ってもロンドンの空港で切符を渡され、着いた先の空港ではホテルまでの送迎バスが待っているだけの自由なツアーです。アンテナ(R5)は袋に入れ、電源(PS-55)はトランクに入れて預け、トランシバー(IC-723)は機内に持ち込みましたが、セキュリティーや税関は全くフリーパスでした。しかし、その日フランスの飛行機がハイジャックされたとのニュースが流れ、帰りが必要以上に厳しくなるのではと心配しましたが、これも全くのフリーパスでした。ロンドンから約4時間で到着した空港には近代的で大きなターミナルビルがあり、その時点で航空機が13機も駐機しているのに先ず驚き、想像以上に広い幹線道路に多くの車、ラスパルマス(Las Palmas)市内に入ると全く都会といった雰囲気は、想像していた島と大違いでした。地理的/気候的にはアフリカ、政治的/経済的にはヨ-ロッパであるこの島々、観光地の一端を少し覗いただけに過ぎませんが認識を新たにしました。ホテル(Melia Hotel)は11階建ての高層ビルですが屋上にはアンテナが建てられず、9階の部屋のベランダから突き出したアンテナでの運用を余儀なくされました。CEPTライセンスによりEA8/GW0RTA/PでQRVしましたが、18MHz以外はCQを連発しても応答がなく、結局聞こえる局を呼びに回り14MHz及び21MHzを含めて、オセアニアを除く5大陸の20DXCCカントリーとのQSOにとどまり、残念ながらJAとはQSO出来ませんでした。1980年に米国からQSOして知り合ったEA8NL, Severoの案内で、EA8の連盟(URE)を表敬訪問し、EA8UREの無線室からもQRVさせて頂きました。また滞在最終日には、EA8NL, Severoとその友人達が、日本レストランに招待してくれました。(1994年12月記)」


写真6. (左)EA8/GW0RTA/PのQSLカード。(右)ホテルの部屋でEA8/GW0RTA/Pを運用する筆者。


写真7. (左)EA8の連盟(URE)集会室で、前列左からEA8BIK, Marcos、筆者、EA8NL, Severo、EA8BUW, Francisco、後列の2人はEA8NLの2ndでBettyとRoberto。(右)EA8UREの無線室にて筆者。


写真8. (左)日本レストランにて、左からRoberto、EB8CGM, Carlos、EA8AYY, Hector、EA8IP, Antonio、EB8AOX, Antonio、EA8RT, Migul、筆者。皆さんお箸を上手に使うのが自慢らしい。(右)寿司バーにて筆者のXYL(JG3FAR)とEA8NLの2nd (Betty)さん。

1994年 (モーリシャス 3B8/JA1ELY)

JA1ELY草野利一氏は、モーリシャスのポートルイスから、3B8/JA1ELYで運用した経験を、アンケートで寄せてくれた(写真9)。「臨時免許を得るのに多大な時間と労力を費やした。相互運用ライセンスが無いので、3B8からは容易ではない。欧米人でも同じ。開局にはポリスの許可が必要との事で、現地の保証人がいないと、まず無理でしょう。D6/FHへのトランジットで寄ったQTHなので、短時間のQRVであったが、80m~15mまでで2,100位QSOできた。特に80mではW6/7, 20局を含む多数のJAとQSOできた。(1994年12月記)」


写真9. (左)3B8/JA1ELY草野利一氏の免許状と、(右上)そのQSLカード。(右下)宿泊し運用したホテル。屋上に八木アンテナが見える。

1994年 (コモロ D68TK)

JA1ELY草野利一氏は、コモロ共和国でD68TKの免許を得て、首都モロニから運用した経験を、アンケートで寄せてくれた(写真10)。「4人によるペディションで、主に80mでのサービスを担当した。JAとは約80局とQSOできた。EU/Wは200局。10月24日~31日までであるが、途中26日~28日はFHに移動したので、実質は4日間です。コモロは火山島で、モロニはJA方向が山となっていてNGなロケーションです。住民が少ない為か、治安が良く安心でした。英語は全く通じません。他のメンバーは、JA1IDY(D68TA), JA1ETQ(D68HS), JL1UXH(D68SY)でした。(1994年12月記)」


写真10. (左)D68TK草野利一氏の免許状と、(右上)そのQSLカード。(右下)モロニの市塲風景。

1994年 (マヨッテ FH/JA1ELY)

JA1ELY草野利一氏は、マヨッテの臨時免許を得て、FH/JA1ELYでマヨッテ島のザウジで運用した経験を、アンケートで寄せてくれた(写真11~13)。「4人のメンバーでQRVしたので、当局は80mメインで運用し、多数のJA/EU/Wの約200局とQSOできた。あと14MHzでSSTVを2局とQSOできました。多分、1st SSTVではないかと思います。ライセンスはフランスとの相互運用協定によるもので、フランスのPTTに申請して3ヶ月間の臨時免許を得ました。運用地のJA方向が海に面しておりFBであった。他のメンバーは、FH/JA1IDY青山貞一氏、FH/JA1ETQ佐藤寿男氏、FH/JL1UXH吉村攝氏でした。(1994年12月記)」 尚、JL1UXH吉村攝氏と、JA1IDY青山貞一氏は、JA1ELY草野利一氏が編集・発行された、月刊ファイブナイン誌1995年2月号に、上記のマヨッテ、コモロを含む3エンティティからの運用を「インド洋DXペディション」として詳しく報告されています。


写真11. (左)FH/JA1ELY草野利一氏の臨時免許状と、(右)そのQSLカード。


写真12. (左)FH/JA1ELYを運用する草野利一氏。(右)FH8CBのシャックを訪問した、左からJA1ELY草野利一、JA1IDY青山貞一、JA1ETQ佐藤寿男、JL1UXH吉村攝の各氏。


写真13. (左)マヨッテの港。(右)月刊ファイブナイン誌1995年2月号の表紙に掲載されたマヨッテの港。

「あの人は今(第19回)」JF1SAG松岡良樹氏

日本のメーカーの駐在員として、フランスで活躍されたJF1SAG松岡良樹氏FE1MUY, FD1MUY, F/JF1SAGの記事は、(その43) 2016年10月号で紹介させて頂きましたが、その松岡氏から当時の思い出や、その後の経過を含めた近況をお知らせ頂きましたので、ここに紹介させて頂きます。「早いもので、記事にして頂いたフランス・アルザスに駐在中の運用から、既に30年以上が経つのですね。記事のお陰で若かりし頃の活動が、記憶以上に記録としても呼び戻せています。フランスのコールサインはFD5MUYからFE5MUYを経て現在ではF5MUYをいただいています。自分のもう一つの名前のようで大切にしています。フランスの駐在を終えて日本に帰国した後、再度ハンガリーに駐在することとなり、また新しいコールサインHA/JF1SAGで運用することになりました。またも現地のハム友人たちに支援していただき、東欧でのハムライフを楽しみました。DXサーとして有名なHA5DQ, Pistaさんと共同のQSLカードを作ったのは楽しい思い出です(写真14)


写真14. (左)F5MUY松岡良樹氏の免許状。(右)HA5DQ, Pistaさんと共同で作ったHA/JF1SAG松岡良樹氏のQSLカード。

オスカーを経由しての衛星通信では、スケジュールも組んでいないのに日本の親友からコールされたのも驚きの思い出です。現地のハムにはSSTVに詳しい人もいて、指導していただいた後さっそくインターフェースを作ってOn Airしました。当時出始めたデジカメが大いに活躍してくれました。駐在の終了と共に、全てのRig及びアンテナとパソコンを現地に残して来ました。今も誰かに使われていると嬉しいのですが。日本に帰国してからは大きなアンテナも立てることが出来ず、ベランダに設置したパラボラアンテナで気象衛星画像の受信を始めました。気象衛星信号の受信は50年も昔にさかのぼり、大学の卒論研究がその最初でした。インターネットもパソコンも無い時代に宇宙から送られてくる信号をデコードするのは一苦労であり、楽しいものでした。そしてついに現役時代を卒業し、無事に引退生活に入りました。パソコンと戯れ、無線も復活し、アンテナの試作やデジタル通信で毎日を過ごしております。コロナ対応での自宅待機期間中にはマイクロバートアンテナなるものを見つけて、ベランダから僅か1.5mのエレメントで80mバンドや40mバンドの電波を発射しています。安価なスペクトラムアナライザやネットワークアナライザが、試作実験を豊かにしてくれています。残りの人生は、やりたいことをどんどん実行して、悔いの無い終活を目指しております(写真15)。(2020年6月記)」


写真15. (左)シンガポールのジップラインにて、お孫さんとJF1SAG松岡良樹氏(2020年2月)。(右)JF1SAG松岡良樹氏の最近のQSLカード。

海外運用の先駆者達 ~20世紀に海外でアマチュア無線を運用した日本人達~ バックナンバー

2021年1月号トップへ戻る

次号は 3月1日(月) に公開予定

サイトのご利用について

©2021 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved. 発行元: 月刊FBニュース編集部