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おきらくゴク楽自己くんれん

その21 軽トラック荷台に載せる移動運用シャックを作る-7
防水対策&アンテナ設備充実大作戦!

JF3LCH 永井博雄

皆さん、あけましておめでとうございます。昨年思いつきで始めた軽トラック荷台に載せる移動運用シャック造りに時間がかかり長い間お付き合いをいただきありがとうございました。今年も変わらずのお付き合いをお願いします。前号では初のメジャーコンテストである全市全郡コンテストで雨の降る中24時間運用を乗り切り帰還したシャックでした。アンテナ設備がプアであったため満足いく成績を得ることはできませんでしたが、他にも反省しなければならない点も浮かんできました。

1. 初めてコンテストに参加しての反省

・アンテナ設備が不十分。
・室内の収納等の装備がなく不便
 中は折りたたみテーブルとソファベットがあるだけであとはタダの箱
・天井に雨水が侵入したような跡ができた

他にもいろいろありましたが、今回の反省点で重要な項目はこの3点でした。


全市全郡コンテスト終了後に見つけた天井のシミ

2. 屋根の材料について

実は基本的な材料のうち、屋根には何を使うか最後まで悩んでおりました。そのこともシャック製作の進捗が遅れた理由の一つであります。

「天窓つき」とか「アンテナポールを貫通させて室内から回す」とか、奇抜なアイデアも浮かびましたが初めての製作なので奇をてらったことはせず、無難に普通の屋根にすることにしました。しかし屋根の高さに高低差をつけたりして変わったことに挑戦した為に、ちゃんとした屋根を葺くにはどうするべきか悩んでしまい、そこから抜けられずにおりました。

無難な方法として某リフォーム番組でもたびたび登場する「ガルバリウム鋼板」を使う事を考えましたが、私の住んでいる県内外のホームセンターでは売っている所がなく、ネット通販でも最低購入量がシャック3台分くらいの大量販売しか見つけられずなかなかいい条件で売られているのが見つかりませんでした。仕方がないので今回のコンテストに間に合わせるため、緊急避難的に屋根に普通使われない材料を使ってしまいました。

そこで思い立ったのは、内壁の材料としてアレルギー対策ので採用したプラダンを呼ばれるポリプロピレン製のダンボール板です。防水性はすこぶる良いのですが耐久性(耐候性)が問題で、特に紫外線に弱くパリパリになるため使えないとされていますが、短い期間で別の素材に吹き替えるのであれば問題ないだろう考えました。


内壁に使用した半透明プラダンを屋根に仮使用

これはカッターナイフで簡単に切れるので、大変加工もしやすく軽いので屋根に葺くのも容易にできそうでした。そして使用にするには十分な買い過ぎた余り物が大量にあった、というのが採用した最も重要な理由でした(笑)。

屋根の固定には高価でしたが、防水パッキン付きのステンレスビスの100本セットを購入しました。

今回の屋根で最も難しいと感じていたのは、屋根となる天板の下にある下地。そこに正確にステンレスビスを打ち込まなくてはならないのですが、高騰する木材をケチった設計のため細い材木を使っており、かなり難易度の高いミッションとなりました。素材が透けているので間違いも防げるかと考えていましたが天板の下にある下地はいくらプラダンが半透明であっても見えるわけはなく、案の定印をつけたところが間違っていて数か所に無意味な穴をあけてしまいました。もちろん補修は施しましたが、遠い将来の雨漏りの種にならないかすこし心配が残りました(笑)。

屋根を貼った後、隙間を十分にシールして、ゴリラテープという強力テープを貼りつけ、防水は万全だと自信を持っておりました。

しかし・・・ コンテスト移動から帰ってからしばらくして、室内を眺めていると天井と壁の間近くに水が浸みた跡を見つけてしまいました。

天井は薄い(4mm)板で塗装はしていないのでとても目立ちます。コンテスト中に降った雨が浸みてきたものと思いました。


プラダン屋根のヘリの返し部分はアルミテープで補強

全市全郡コンテスト参加時はこの屋根の状態で参加しておりました。

しかし今回の雨漏りと思われる事件で、本格的な屋根を早急に対策しないといけないと慌てて検討を再開しました。そうしていると私がこれまであまり使うことがなかったネット通販で手ごろな0.3mm厚914×5000サイズが売られているのを見つけ購入しました。

3. ガルバリウム鋼板で屋根を葺き替え


プラダンを葺いた時に失敗したビス穴を埋める(笑)

プラダン屋根をはがし雨水の侵入した跡を探してみました。しかしはがした後の天板は塗装にムラがある以外は、きれいな状態で雨水の侵入跡は確認できませんでした。というか最初から雨漏りなどなかったのかもしれないと思い始めました。


接着剤を使い鋼板を貼りつけました

今回は、鋼板という少し重くて扱いにくい材質でしたが、ビスを打つ位置は慎重に場所を確認して打ち込みましたので、前回よりも命中率はかなり上がりましたが残念ながら1か所効いていないビスを打ち込んでしまいました。それは抜かずにコーキングで動かないようにした上に防水テープを貼りつけ、養生しました。それほど長い間使う予定ではありませんが先々に影響しないか少し心配ではあります(笑)。


貼り終えたガルバリウム鋼板


鋼板の境目にコーキングを施す

鋼板の間にコーキングした上から防水アルミテープを貼り付けて、今回も万全? の雨漏り対策を実施しました。

4. 室内結露対策

コンテスト終了後に発見された水の跡ですが、先の屋根葺き替えの時に確認しましたが、天板には雨の侵入した跡は見からず。どうやら現れたシミは室内で発生したものではないかと考えました。壁と天井板の境目にいい加減な素人作業による大きな隙間がありました。そこには充填材を詰めて埋めていたのですがそれも振動等でズレ室内・天井裏間の空気が出入りしていたのだと思います。

コンテストの時は寒く、室内で暖を取っていたのでその温度差により天井の上で結露が発生してしまいシミができたのだと判断しました。


コーキング材を厚塗りしてシミ対策を実施

天井を貼替することは出来そうにないので、大量のコーキングを施して隙間をなくすことにしました。この処置を施してから何回か外気温が低い時に室内でガスストーブによる暖房(十分な換気を実施)をして室内で長時間過ごしてみましたが、今のところこれ以上シミが広がることはなく問題なく使っていくことができそうです。

5. アンテナ設備の充実作戦

軽トラック移動シャックに装備するアンテナ設備は、基本的に3本以上のアンテナを車一台分のスペースであげられるようにしたいと考えておりました。

・HF~50MHz用バーチカルアンテナ
HFアンテナは早回り移動などで重宝されているオートアンテナチューナー利用の釣り竿バーチカルアンテナを使えるようにします。シャック側面上部に水道用のパイプを吊る金具を取り付け、ポールの重量はアオリのトップにかかるようにし、ずれないようにアオリに差し込めるよう切り欠きを入れた塩ビパイプを作りました。

この手のアンテナの必須であるアースは、荷台前部のトリイを取り付けているボルトに電線をつなぎます。アースを接続する4:1バランまでの間に少し距離がありますが、その間は電線がアースである車体とアオリに接しているので電線の長さが問題になることはないと思われます。


軒先のパイプ吊り金物とアオリに載せたパイプ受け


アースはトリイ部分の取付けボルトに接続


4:1バラン

・小型ローテーター取付けの試み
シャック製作開始時から、小型ローテーターを取付け小さなビームアンテナを回すことができないだろうかと検討を重ねていました。当初はトラックのトリイ頂部にローテーターを付けた鉄板を固定して回すことを考えていろいろテストしておりました。

このローテ―ターはずいぶん昔に製造され、デッドストック品として販売されているものを昨年購入したのですが、小型と言ってもそれなりの大きさがありトリイに付けてシャックを荷台に載せるとどうしてもローテーターとシャックが接触してしまうので回すことはできず、トリイに直付けしての使用は諦めておりました。


トリイにローテーターを取付ける試みは失敗

しかし葺き替えした屋根のガルバリウム鋼板は磁石がつくはずです。以前大型のHFモービルホイップアンテナを使えるように購入していたダイヤモンドの大型マグネット基台K3000がありましたので、これにローテーターを直付けしてアンテナを回すことができるのではないかと考えました。その方がトリイに付けるよりも地上高を高くすることができます。一石二鳥の解決策が生まれました。


K3000の台板に穴あけ加工中

まずはK3000のステンレス台板にローテーターを付けるためのネジ穴をあけます。大きいK3000の台板はステンレスで硬く、また厚さもありハンドドリルで穴をあけるのには少々手こずりました。


強力マグネット基台に取り付けたローテーター

なんとか穴あけに成功しローテーターを取り付けることができました。過去に例を見ない3点マグネット固定ローテーターシステムの完成です。

早速アンテナを付けて屋根に載せてみました。しかし鋼板が薄いものなのでそれほど強力な固定力は得られませんでした。そこでいろいろ対策をすることにしました。

まずマストを金属製のものにすると八木アンテナを垂直偏波にした時に片支持ブームが必要となり、アンテナの回転半径が大きくなってしまいます。塩ビパイプをポールにすると、回転軸に近い所にアンテナを付けることができます。

ポールも長いと風によりテコの原理でマグネットを剥がそうとする力が大きくなるので、長さ1mくらいが限界ではないかと感じます。よって144MHzの八木アンテナを垂直偏波で取付けると屋根に干渉するので使うのは難しいでしょう。これで強風でなければ430MHzのブーム長1.8m程度の八木アンテナは使うことができそうです。

このローテーターはAC100V動作なので、室内のDC分電盤から市販の安い矩形波インバーター120W出力のものにつないで給電します

・それ以外のアンテナ基台
まだ屋根のスペースには少し余裕があります。マグネット基台がもう1つありましたので使うことにしました。少し大きなタイプのマグネット基台です。当初この基台は、軽トラック運転席の屋根の上に付けようと考えていたのですが、シャック屋根が鋼板となったのでより高い所でつけることが可能になりアンテナ高さを稼ぐことができました。144MHz/430MHzノンラジアルモービルアンテナを使おうと思います。


屋根を仕上げる前に貼りつき具合の実験中

これで合計4本のアンテナを車1台分のスペースに展開し、運用することができるようになりました。


現段階でのフルスペックアンテナ装備

上の写真では
・HF+50MHz用バーチカル: オリジナルアンテナ固定装置にグラスファイバー竿を使用
・50MHzデルタループ: 上記と同じ方法で3mの伸縮ポールを使用
・144MHz用ダイヤモンドの2段ホイップDP-NR22L: 普通のマグネット基台
・430MHz15エレメント八木(ブーム長1.8m): ローテーター付き強力3点式マグネット基台K3000

さらに広い場所があれば、タイヤ踏みベースで伸縮ポールを使用してダイポールアンテナを張ることも可能ですので、次回コンテストでは前回よりも充実したアンテナシステムを使うことが可能となりました。

今月はここまでです。今後は内部の装備や暖房方法など、実際に移動運用を重ね使い勝手を向上していきたいと考えています。

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