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おきらくゴク楽自己くんれん

その12 50MHz片側電圧給電(ツェップライク)アンテナの製作
ポールなしでの移動運用に! ローコストシリーズ予算1200円!

JF3LCH 永井博雄


皆さん、こんにちは。寒かった冬も終わり、日に日に暖かくなってきて本格的な移動シーズンが到来しました。今月も気軽に作れて移動運用で活躍するアンテナを作ってみようと思います。

1. 飛行機を使った50MHz遠距離移動運用の考察

今更言うまでもありませんが移動運用が大好きな私。新型コロナが出現する前は、格安航空会社(LCC)を利用して遠方で日帰りや短期間の移動運用を楽しんだりしていました。その時不便だったのは飛行機を利用しての移動運用ではポールの持ち込みが制限されてしまうことです。私がよく利用するピンク色の飛行機便では機内に持ち込める荷物は長さ60cm以下とされており、ほとんどの移動用ポールは運ぶことはできません。別途料金を払えば預け荷物として運搬は可能ですが、できれば出費は抑えたいものです。そのような条件を満足する方法として、レンタカーを現地で借りて小型マグネット基台に取り付けたコメットのHFJ-350Mと自作のマグネットアースシートを組み合わせて使っていました。


2019年沖縄県中頭郡北中城村での移動運用

これならHFではある程度満足のいく移動運用を楽しむことが出来ます。しかし50MHzについては、私自身これまでに未申請ながら700を超えるJCCを集めているこだわりのあるバンドです。短縮されたホイップアンテナではどうも物足りなく思え、満足のいく移動運用を楽しめるものではありませんでした。

また本連載では、ポケットダイポールアンテナやコメットアンテナのHFJ-350M二刀流運用など、移動運用を楽しむ自作アイテムや方法を紹介させていただきましたが、これらを使うために必要なものが「ポール」です。通称ビバポールを呼ばれているホームセンターで3,000円程度の伸縮ポールを中心に使ってきました。このポールは気軽に使うことができるので重宝しています(余談ですが情報によりますと、この6mの長さのものが製造中止となり現在各店舗の在庫が無くなり次第販売が終了となるようです)。しかし縮めても約1.8mの長さがあるため飛行機で運ぶには費用と手間がかかります。

そこでワイヤーエレメントの片側のみに給電できてロープを使いポールなしでアンテナを上げることができる電圧給電方式のアンテナを作ってみることにしました。


設営前の給電部


アンテナ給電部の接続図

このアンテナの特徴は、
・エレメントの片側のみに給電するので設置が容易でポールを必要としません。
・アンテナゲインは半波長ダイポールと同等。
・ケースとエレメントワイヤーだけなのでかさ張らなく運搬が容易。

2. 素材の検討と材料について

給電部に使うケースは、先月のダイポールアンテナで使用したランチケースが使い勝手がとても良くて今回も使わせてもらうことにしました。色は目立つ赤色にしてみました。フタの内側にはゴムパッキンがあり、雨の日の防水性能も期待できます。先月同様エレメントやロープと本体をつなぐのに都合がいい取手を今月も活用します。


お好みの色の方をどうぞ

エレメントは波長の1/2となりますので、50MHzでは3mとなりますが50.0~51.0MHzまでの間であれば波長短縮率も関係しますので、最終的に2.7~2.9m程度になるものと思われます。長めにして少しずつ切りながら調整して追い込んでいくようにします。

今回使用するコンデンサは微妙な調整で任意の容量を得ることができるものでなければなりません。例えば33pFから32pFに変えるだけで大きく周波数が変化してしまいます。最近はバリコンも高価ですので何かいい材料はないか探していましたが、昔OMさんから頂いた大きな1.6mm厚のガラスエポキシ基板の両面基板がありましたので、これを適当な大きさに切り出して使ってコンデンサとして使ってみることにしました。まだ試してはいませんが比較的大きな電力で使用できるのではないかと期待しています。


テストで30pFに調整した両面ガラスエポキシ基板

コイルは手持ちの1.6mm太さのUEW線を使って、単三乾電池に5回巻き付けて作りました。コイルを作るのに巻き付ける材料も特殊な物では探すことでやる気がなえることもありますが、これならば手軽に巻くことができそうですね。


1.6mm線であれば巻き付け後の戻りが少ない

巻いたコイルの4巻目に中間にタップをとっておきます。UEW線は被覆をめくるのが面倒なのでスズメッキ線が良かったなと、その時に後悔しながらの作業でした。

3. 給電部試作

ランチボックスにM型レセプタクルとエレメント接続ネジをつける穴を開けます。のちの展開を考えて写真の位置につけたのですが、少し思慮が足りず色々至らぬ点が判明しました。しかしもったいないのでそのまま続行。ケースは柔らかいプラスチックですので比較的簡単に加工することができます。


M型レセプタクルが不適切でフタが閉まらなくなる

穴を開けたら中間タップを取ったコイルとコンデンサとして1.5D-2Vを300mm強の長さ程度に切ったものをつなぎ、少しずつ切りながら容量の調整をして、同じ容量に切り出した基板コンデンサと替えることにします。思えばこれが後の混迷の始まりでした。


同軸コンデンサの容量を変え調整


リード線をハンダ付けした基板

4. 調整

ひと通り組みあがり、早速3m弱のエレメントをつなぎ、公園に行って調整のためアンテナを上げてみました。ところがSWRアナライザーで見てもどこにも同調しているようなポイントが見つかりません。接続不良個所があるのかと探してみましたがちゃんと接続されています。帰ってきて自宅前でアンテナを上げて、エレメントの長さを変えたり、基板コンデンサを変えたり、配線の取り回しを変えてみたりしてようやく良好な特性が出るようになりました。

そこで1.5D同軸コンデンサを外してLCRメーターで静電容量を計ってみると約33pFでした。初めに作っていた30pFの基板コンデンサを参考に少し大きめに切り出し容量を計りながら33pFになるまでグラインダーで削ります。

容量を合わせた基板コンデンサと同軸コンデンサを替えるために、線の取り回しを少々変更しなければなりませんでした。つなぎ終えて早速計測すると、なんと同調点が46MHz台とかなり下がってしまいSWRも最低で3程度まで上がっていました。

どうも線の取り回しや配置の変化で特性が大きく変わってしまうようです。良く考えてみれば5ターン程度のコイルで同調をとっているので、線間の変化や曲がりなどで浮遊容量が変化して動作が変わってしまうのは当たり前と言えば当たり前の話でありました。

そういえば大昔、図書館で見た昭和40年代初めのアマチュア無線の本で50MHzは「超短波で光に似た特性である。配線の取り回しには十分な注意が必要。」と書かれていたことを思い出しました(笑)


このままでは中が安定しないので固定することに

何度も調整を重ね、なんとか下の写真のように大変良好な特性を出すことができました。


IC-705のSWR機能表示で良好な特性を確認

5. 混迷は続く

いったん良好な特性が得られ、ブラブラ状態のコイルやコンデンサの変化に敏感に反応することを解消するため、固定する方法を考えプラスチック製のコードフックを使って中が動きにくいようにしようと考えました。当然固定したことで内部環境が変わりますのでまたもや同調しない状態になり、またもやコンデンサ容量やコイルの長さを調整してなんとか使い物になるレベルに追い込むことができました。


プラスチック製配線クリップを使って各所を固定

ケースにあける穴の位置をよく考えてなかったのと触るたびに調整が狂うのは、基本的に配置が悪いのかも知れないと思ったのでもう一つ給電部を作り直してみました。


コイルが安定するように作り変え

1.6mmのスズメッキ線を見つけたのでコイルも変更しました。コイルの足を長くして直接圧着端子を取付けネジに固定するとコイルが動かないようになりました。見た感じもスッキリしたものとなりましたので良い特性が得られるのではないかと期待が膨らみました。しかし特性は最初の時のように同調点の見つからないような感じとなり、また一からエレメント・コンデンサ・コイル長さも調整することとなりました。

調整の手段としては
・コンデンサ容量を変える。グラインダーで削る(周波数が上がる)。
・コイルを縮める(周波数が下がる)。
・エレメントの長さを変える。少しずつ切る(周波数が上がる)。

このいずれかを実行して希望の周波数に近づけます。しかしそれで動いた周波数では思うようにSWRが下がっていないことがあります。その場合はコンデンサを大きい容量に取り替えるとか、エレメントを長い物に変えてみるとかしてSWRが良好になるまでトライしました。


時間を見てください(笑)

そして何とか追い込んだのが上の写真の特性です。現在のところコンデンサの容量は40pFを超えていますがこの状態になりました。今後の調整を進めていけば、はじめに得られたSWR最良点で1.2くらいまでにはできただろうと思います。暗くなるまでにわたる屋外作業で冷え切って疲弊したことと、SWRの最低値を1.4程度まで追い込んだので、この状態であれば実運用で十分使用に耐えてくれると判断し、翌朝見切り発車的に移動運用に出かけました。

6. いよいよテスト運用

なんとか使えるレベルまでに落ち着いたのですが、ロケーションが変わればまた特性が変化するかもとドキドキしながら実際に上げてみました。結果は特に悪化することはありませんでした。運用場所は600m程の高さの山の中腹です。モンキーレンチにロープを縛り付け、木の枝や幹の間に放り投げてエレメントを引っ張ります。ここでは3m程度の高さです。給電部の高さでも特性は変化します。それでも車の屋根に短縮ホイップよりは飛びの良い設置になってるかと思われます。


実際の交信で使います


エレメント接続端子に力がかからないに処理

日曜日のお昼前でしたが、お天気が悪いせいかバンドは閑散としていました。試しに10Wの出力でCQを出してみますとYL局から呼んでいただき、このアンテナ初めての交信のお相手をしていただきました。きわめて幸先の良いスタートとなりました。それからも異常伝搬などはなく比較的近くの局が多かったですが、合計5局の方と交信することができて、いずれの方からも55~59のレポートをいただきまずまずの結果を得ることができました。

7. まとめ

今回のアンテナに使う材料にかかった費用を表にしました(消費税込み)。


基板は通販での価格

今回も1,200円程でたくさん遊んで(調整)快適な移動運用アイテムを得ることが出来ました。調整が少しデリケートではありますが是非ともじっくりと挑戦してみてください。

100円均一のお店で誤ってボヌールランチスクエア3Lというものを購入してしまいました。LLに対して3Lだから大は小を兼ねると思っていたら、3Lの方は深さが少し浅いので側面にM型レセプタクルをつけることが出来ませんでした。購入をお考えの方はサイズに注意してください。

基板コンデンサーの調整方法ですが片面に数ミリ角のランドをたくさん作りリード線で導通したり外したりすればもっと簡単に容量調整できるのではないかと思いました。グラインダーがない方もこの方法で試してみられてはいかがでしょうか。

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