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おきらくゴク楽自己くんれん

その37 モバイルシャックと軽トラのハイブリッド移動で春の移動運用三昧

JF3LCH 永井博雄

2024年5月1日掲載


桜と軽トラと自転車

皆さんこんにちは。暖冬だったと言うものの長い冬が終わり、本格的な春となった3月はモバイルシャックだけにおよばず、軽トラを活用した移動運用三昧の週末を何度も楽しむことができました。

1. 今年も西日本ハムフェアに参加

毎年3月上旬は深刻な業務で忙しい日々が続きます。1月に佐賀県・長崎県を移動運用しましたので、今年の西日本ハムフェアは行かないでおこうと考えていました。しかし忙しければ忙しいほどストレスが溜まり(逃げたくなるとも言います)、なんとか時間を作ることができたので西日本ハムフェアにモバイルシャックで向かうことにしました。ほぼ思い付きのような行動ですが、こんなことができるのも列車や宿の予約が要らないモバイルシャックのおかげです。

バタバタと用意をして家を出るのが遅れました。本当なら途中寄り道して島根県かどこかで移動運用をしようと考えていたのですが一旦はあきらめました。安全を考えて休憩を多くとりながら山陽高速を西に進んでいたのですが、今日寝る場所を考えると高速道路のサービスエリアがうるさく不快なことは経験でわかっていたので、いったん高速を降りて適地を探すことにしました。

途中の町のスーパーで夕食を買い込み近くの適地を探していると、島根県の比較的近い地域に大変FBな「かけ流し温泉」があることを知りました。ルートを検索すると遠回りになってしまいますが近くに道の駅もありコレだと思い切って向かう事に。ところが途中でナビのルート設定が変わったのかどんどん細い山道に案内されてしましい、ついには雪が積もる峠道を走る羽目に。後で調べたら標高が700mを超える峠を走っていたようです。

軽トラは切替式4WDで冬用タイヤも履いていましたが重たいモバイルシャックを載せた状態で雪道を走るのは初めての経験。特に下り坂では重たくなっていることもありドキドキで慎重に走りました。ゆっくり走っていると到着予定時刻がどんどん遅れ温泉の営業時間に間に合うかが怪しくなってきました。


シャックを載せてスリリングな雪道走行

焦る気持ちを抑えながら何とか峠を走り切り到着したのは閉館25分前というなんとも微妙な時間に到着。あわただしい入浴でしたが褐色のかけ流しのお湯でリフレッシュ。大変いい気分となりました。今度またゆっくりと浸かりに訪れたいなと思いました。


かけ流し濁り湯でいい気持ちに

温泉の後は近くの道の駅で夕食を取り休むことに。まだまだ九州は遠いので明日朝は早く出発することにします。

翌朝、まだ暗いうちに出発し中国自動車道を目指します。1月は関門トンネルを通り九州入りをしましたが、今回は高速道路である関門大橋を通って上陸です。高速道路を降りた後はナビ任せに走っていくと、程なく西日本ハムフェアの会場日産自動車九州に到着しました。すでに駐車場はいっぱいの車が停まっており、この時点で昨年よりも多くの方が訪れているのを感じました。


無事に西ハム会場に到着


昨年同様楽しい一日でした

一年ぶりの会場で多くの方とお会い出来て楽しめました。また駐車場では通りがかりの方から声をいただき。中には「自分も軽トラがあるのでこんなのを作ってみよう」という方が何人かおられたので6エリアでモバイルシャック仲間が増えてくるかも知れません(笑)

せっかくの九州ですが今回は忙しい時期です。スケジュールに余裕がないので午後に入ってすぐに会場をあとにして、地元の古くからあるラーメン屋さんで本場のラーメンを頂いた後帰途につきました。途中移動運用をする時間的余裕もなく強行軍で疲れはしましたが、精神的にはリフレッシュすることができたような気がします。

2. 中継ボックスの改良


同軸1本とコントロールケーブル追加(右写真)

これまで1本だけ室内から通していた同軸ケーブルをもう1本追加。同時にAH-730のコントロールケーブルも中継ボックスに収めました。同軸1本とコントロールケーブルはボックスの上部に設置するAH-730に直接届く長さにしています。これにより現地での運用準備作業が格段に楽になりました。

3. 和歌山県各地を移動運用

西日本ハムフェアの翌週、忙しさの大きな山場を越えることができて週末には時間も気持ちも余裕ができました。すると途端に先週の思い出がよみがえりまた。どこか移動運用しに出かけたくなり、3月16日(土)~17日(日)は以前から移動運用のリクエストが来ていた、和歌山県各所の移動運用を実施することにしました。全ての運用箇所は事前にネット地図で移動運用ができそうな地点をピックアップしており、だいたい予定した場所で運用することができました。


西牟婁郡すさみ町移動運用風景

この日は朝早く家を出ることができました。一番目に西牟婁郡すさみ町から運用を開始しました。近くに道の駅がありましたが人が多く、そこでの運用をあきらめ海辺の公園駐車場へ、私しかいなくてとても快適に運用することができました。

この後、数ヶ所で運用をする予定なので、モバイルシャック側面のアンテナチューナーAH-730がしっかり装着されていることを確認したうえで付けた状態のまま走ることにしました。

これまでバーティカルアンテナのエレメントを這わすグラスファイバーポールは10mまで伸びるものを使っていましたが、到着後の設営時間を減らすために今回からは以前違う車で使っていた5.4mの釣り竿を使いました。季節的に低い周波数を使う機会も減ってくるのでこれでも十分ではないかという判断でした。


日高郡日高町移動運用風景

日高郡日高町ではきれいに整備された砂浜近くの駐車場で訪れている人も少なくて大変気持ちがいい場所でした。


日高郡日高川町移動運用風景

次の日高郡日高川町での運用を終えた後、西牟婁郡上富田町の河川敷駐車場でも運用。その後暗くなってしまいましたが、隣の西牟婁郡白浜町の公園駐車場に向かったのですが思っていたより谷が深く狭い場所でした。

いくらネット地図が便利だからといってもこういった所は時間をかけてよく調べないと予想と違うことが楽しみを半減させることもあるのだと反省。何とか運用を終え、いただいたリクエストに全てに対応できてこの日の予定を終了しました。


西牟婁郡白浜町運用のあと温泉を楽しみました

2日目の朝は、昨日のうちに予定していた移動運用を終えていましたので全く予定を立てていませんでした。少し気になっていたのですが、とりあえず国道311号線を奈良県方面に向いました。国道沿いにはすでに早い種類の桜が沢山咲いていました。


早い木はすでにきれいに咲いていました

途中で田辺市の中辺路という所の国道から少し離れた所に広い駐車場があるので、そこで運用してみました。休憩していると多くの外国人を乗せた路線バスがトイレ休憩に入ってきてしばらく停まっていました。乗客がトイレに行っている間に運転手さんが話しかけてこられシャックを指さし「自分で作ったのですか?」などとインタビューされてしまいました。乗客は全員が外国人だったようでさすが世界遺産の熊野古道だと感じた瞬間でした。


田辺市での運用風景

田辺市での運用を終えて、次は唯一の飛び地の村で奈良県と三重県に囲まれた和歌山県東牟婁郡北山村で運用しました。そのあと隣の奈良県吉野郡下北山村に向かいました。ここは県内各所との通行の要である国道169号線が崩落により通行止めとなっており、他県からしかアクセスできない状態となっていて危機に瀕しています。少しでも役に立つかなと思い村営の日帰り温泉(国道通行止め期間は300円)に入り食事を楽しませていただきました。


奈良県吉野郡下北山村移動運用風景

ここでも移動運用を楽しみ帰路についたのですが、国道169号線が通れませんので三重県側から迂回し、通常2時間弱で帰るところを4時間以上かけて家に戻りました。

4. 軽トラ&自転車のハイブリッド移動で険道を行く

ちょっと趣向が変わりますが、軽トラックを使った変わり種移動運用を行ったので紹介いたします。これまで地元の奈良県内にて車で行ける標高が高くてV・UHF帯での移動運用によさそうな場所は大体移動運用をしたことがあるのですが1か所だけ運用できないでいた所がありました。それは吉野郡黒滝村と天川村の間にある標高1,000mを超える小南峠です。

昔お参りの方々が沢山通っていたらしいのですが、大正時代に国道が違うルートで両村を結んでから通る人の数が減り衰退していったらしいです。それでも昭和40年代まで峠の途中の茶屋が営業していたということですが、今はもう歩いて通る人はなく時折車やバイクが通るだけの県道です。シャレでこの道を酷い国道を指す「酷道」に対して険しい県道を指す「険道」と書いて紹介されたりしています。

両村の境には小南峠隧道(こみなみとうげずいどう)というトンネルがあり、その黒滝村側出口が標高約 1,050mとあって、奈良・京都・大阪方面に障害となる山がなく抜群のロケーションであると聞いていました。ところが細いトンネル出口近くに車を停めると他の車のすれ違いに大きく影響し迷惑になるので運用する機会がありませんでした。車がダメならバイクか自転車で行けばいいのですが現在バイクは所有しておりませんし、私の体力では自転車で行くのはとても無理な急坂です。しかしある日ふと思いついたのが軽トラに自転車を小南峠近くまで運び、広い所に軽トラを停めてそこから自転車で登ればいいのではないかと。幸い家にある自転車は電動アシスト付きだったので多少の距離なら無理なく現地にたどり着くことができそうです。という事で天気のいい日曜日に自転車を積んで小南峠での移動運用に出発しました。


黒滝村の道の駅の串こんにゃくは絶品です

途中黒滝村の道の駅に寄り昼食用に弁当を購入、ちょうど道の駅周辺の桜は満開でとても綺麗でした。名物のおいしい串こんにゃくをいただき、いよいよ峠に向かいます。


松ヶ茶屋跡

人里を離れ狭い山道を進んでいくと、先ほど説明した茶屋の跡に着きました。まだ建屋も残っており広告看板などもあり当時をしのぶことができます。きっと多くの人が利用しこの場所でいろいろなドラマが生まれていたのでしょう。この場所で標高は約700mほどです。この辺りまで上がってしまうと桜は未だ時期が早いようでした。


自転車を降ろします

トンネルまで数百m手前に広い場所があり車を停めて自転車を降ろします。ここから目的地まで標高差は90mほどありますからかなりの傾斜度です。電動アシストの力を借りないと体力がない私には走破は無理だったことでしょう(笑)


小南峠に到着

到着してすぐに運用を開始しました。現地は野鳥の鳴き声が沢山聞こえます。クマ出没注意の看板があり「注意ってどうしたらいいのか?」などと思いながら恐る恐る運用です。声出しやCWの音を立てておけばクマの方から逃げてくれることを期待します(笑)

430MHz FMの5Wと50MHz SSB・CWは10Wで自転車荷台につけたホイップアンテナでの運用でした。特に430MHz FMでは60kmも離れた大阪市中央区移動のハンディー機の局が呼んできてくれました。お相手にもこちらのバックの野鳥の声が届いていたようです。

こんな山の奥と大都会のど真ん中のハンディー機とでつながるなんて、お互いの周りの環境の違いについて伝えあって、やっぱり高い所からの運用は楽しいと改めて思いました。

お昼過ぎまで大変楽しく交信を楽しんだ後、道の駅で買ったお弁当を食べて帰路につきます。細い山道です疲れていたのでいつもより慎重に下っていきました。

決して無茶苦茶多くの局とつながったわけではありませんが、一局一局との交信の楽しさが無線を始めた原点に帰ったみたいで気持ちよい移動運用となりました。たまにはこういう移動運用もいいものですね。


あまり知られていない桜の名所

帰る途中に宇陀市の未だあまり知られていない桜の名所に立ち寄りました。もう夕方になっていましたがまだまだきれいな桜をみることができ大変いい一日の締めくくりとなりました。

今年は人生で一番多い地域の桜を眺めることができたのではないかと思います。これも軽トラ移動運用活用の賜物です。それではまた。

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