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新・エレクトロニクス工作室

第39回 基板で作るアッテネータ その1

JE1UCI 冨川寿夫

2025年7月15日掲載

測定

せっかく作ったのですから、30dBでの特性を測ってみました。以下の測定は全てBNCバージョンで測っています。図4のように、100MHz程度であれば特性的には充分だと思います。500MHzに近くなると図5のように少し乱れます。1GHzまでになると図6のように、問題のある事が解ります。いずれにしても無理をしてチップ抵抗を使う必要もなく、この位の特性を得る事は可能です。10dBや20dBも概ね同様です。


図4 100MHzまでの特性


図5 500MHzまでの特性


図6 1GHzまでの特性

アッテネータを全てOFFして0dBにした時のインピーダンスを図7に示します。これはベクトルアンテナアナライザ FA-VA5を用いて1~600MHzを測ったものです。また、10dB×3の時のインピーダンスを図8に示します。これは使った抵抗の特性も含む事になります。当然ですが、どちらの場合も反対側は基準の抵抗で終端しています。このように、それなりの特性にはなりました。なお、10dBと20dBは使うアッテネータの位置によって変化します。紛らわしいので掲載は止めます。いずれにしても100MHzまでは全く問題は無く、600MHz程度でもそれなりの性能なのでしょう。

基板的にはインピーダンスを考えて作っていません。まだ、そのレベルではありません。それでもこの位の特性にはなるようです。ただ、図7図8を見ると、ラインのインピーダンスが少し低いのかもしれません。1000MHz近くで使うのであれば、対策として考えられます。もちろん抵抗をチップにする方法もありそうです。トグルスイッチの部分は難しそうです。


図7 0dBに設定した時のインピーダンス


図8 30dBに設定した時のインピーダンス

このアッテネータはケースに入れない方が良いと思います。プラスチックのケースであれば良いのですが、金属性の場合は問題があります。一般的にシールドになるので良さそうに思われるかもしれませんが、アース側を戻る電流の一部がケースに流れてしまいます。すると高い周波数での特性に悪影響を及ぼします。これは難しいところです。あるいは写真11のように、連続して接触するように工作すれば問題ないと思われます。しかし、アルミのケースなどでは構造的に難しいと思います。


写真11 ケース等で囲う場合は、ケースを通る別のアースルートを作らないようにする

使用感

このようなアッテネータは、写真12のようなFCZ研究所のキットで作ったのが最初でした。未開封のキットも写真13のように残っています。その後ユニバーサル基板を使って相当数を作りました。週刊BEACONのNo.24で作ったのが写真14です。これは写真11のアッテネータです。恐らく特性的にはあまり変わらないと思います。このように過去のアッテネータを考えると、感慨深いものがあります。個人的な感想でした。


写真12 最初に作ったのはFCZ研究所のキット


写真13 未開封品も・・・


写真14 BEACONのNo.24で作ったアッテネータ

これは個人的な感想ですが、今回は基板をKiCadで作って完成できたという事が大きいと思います。これをステップに、トランシーバや測定器等も着々と進めています。

Appendix(付録)

このように10dB×3のアッテネータとしたのですが、原稿をまとめていると表1の40dBがどうしても気になりました。無理を承知で、前述した10,20,40dBという設定を急遽作ってみました。それが写真15になります。


写真15 急遽作った左から10,20,40dBのアッテネータ

100MHzまでを測ると、案外40dBでも行けそうです。20dBでは表1の計算どおりに19dBになりました。50MHzあたりでザックリと使うのであれば、充分なのかもしれません。しかし、500MHzでは40dBが30dBになってしまいました。これは無理でしょう。

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