アマチュア無線の今と昔
2026年8月3日掲載
連載45回目です。この原稿を書いている頃、第30回関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM2026)が開催されます。今年はスケジュールの都合がつきましたので参加する予定です(実際に原稿を書いているのは開催前なので、こんな表現になりましたが・・・ hi)。
このところ、毎日真夏日が続いていますが、皆さんの体調は大丈夫でしょうか? この原稿が掲載される8月3日には、第69回フィールドデーコンテストは終了していますが、今年こそ移動して参加したいものだと考えています。どこのバンドにするかはまだ決めていませんが、参加することになりましたら是非よろしくお願いしますhi
・・・ とまあイベントが続くわけですが(因みにハムフェアは8月29~30日ですよ)、暑さで熱中症にならないように気を付けたいものです。では今回も原稿を進めて参りましょうhi

今年も行って来ました関ハムです!
いよいよ8月、夏本番に突入しました。アマチュア無線家にとって見晴らしが良く電波の飛びが期待できる山頂や高台への移動運用が楽しい季節です。しかし、昨今の凶暴な暑さは、もはや気合い(?!)で乗り切れるレベルを超えています。余談ですが、私が高校生の頃、在籍していた高校の野球部は、練習中や試合中の水分の補給が禁じられていたそうです。今だったらヤバいですよねhi
さて、話を戻します。谷間を避け、標高が高く視界の開けた場所を好む無線家ならではの環境要因を踏まえ、夏の屋外運用を安全に楽しむための「熱中症」「虫刺され」「クマ」の3大対策をまとめました。
1. 遮るもののない高地ならではの「熱中症対策」
見晴らしが良い場所=直射日光を遮るものがない場所、です。標高が上がれば気温は下がります(一般的に標高が100m上がると気温が約0.6℃下がると言われています)が、紫外線は強くなり、直射日光による体感温度は想像以上になります。また、風が抜けるため汗がすぐに乾き、自覚のないまま脱水症状に陥る危険があります。

標高と気温の関係
・人工的な日陰を作り出す
設営場所の確保が最優先です。木陰がないロケーションでは、自立式のタープやパラソルが必須になります。ただし、高台は風が強いため、風抜けの良いメッシュ素材のタープを選んだり、ペグやロープで厳重に固定するなどの強風対策を併用してください。
・「水」と「塩分」の計画的な補給
喉が渇く前の水分補給は鉄則ですが、水だけを飲むと体内の塩分濃度が下がり、かえって熱中症のリスクが高まります。スポーツドリンクや経口補水液、または塩飴をセットで用意しましょう。運用に夢中になると忘れがちになるため、「パイルアップが一段落したら必ず飲む」などマイルールを決めるのがおすすめです。
・物理的な冷却アイテムの活用
太い血管が通る首・脇の下・そけい部を冷やすのが効果的です。最近は持続時間の長いネッククーラー(PCM冷却素材)や、ファン付きウェアが安価で手に入ります。クーラーボックスに保冷剤を多めに入れ、冷やしたタオルを首に巻くだけでも劇的に違います。

ファン付きフェアの例 ホームセンター等で入手出来ます
・【無線家特有の注意点】リグとバッテリーの熱対策
人間だけでなく、機材の熱中症にも注意が必要です。直射日光下ではトランシーバーが異常過熱し、送信出力が低下したり故障の原因になります。また、モバイルバッテリー(特にリチウムイオン)の直射日光下での放置は発火の危険があるため、機材用の日よけ(白いタオルをかけるなど)も忘れずに行いましょう。

こんなタオルがあれば日よけだけでなく色々使えて便利です
2. 草地や低木に潜む「虫刺され対策」
見晴らしの良い高台や山頂付近は、風通しが良いため蚊は比較的少ないものの、アブ、ブヨ(ブユ)、そしてマダニの生息域となります。特にアンテナ設営で草むらに入る際は厳重な警戒が必要です。
・肌の露出をゼロにする(特に足元)
暑くても、半袖・半ズボンでの運用は危険です。接触冷感素材の長袖インナーや、通気性の良いトレッキングパンツを着用しましょう。マダニ対策として、ズボンの裾を靴下の中に入れる(農作業スタイル)のが最も効果的な物理防御です。
・成分の強い虫除け剤を選ぶ
アウトドアでは、有効成分「ディート(DEET)」が30%配合されたもの、または「イカリジン」が15%配合された強力な虫除けスプレーが有効です。汗で流れるため、こまめに塗り直してください。

防虫スプレーを有効活用しましょう
・プロ仕様の防虫線香を活用
林業のプロも愛用する「パワー森林香(赤い線香)」は、一般的な蚊取り線香より煙の量が多く、アブやブヨを寄せ付けない結界を作るのに非常に有効です。運用場所の風上と風下に配置すると効果が高まります。

最もポピュラーな防虫線香・蚊取り線香です
・黒い服は避ける
アブやハチは黒や濃い色に向かってくる習性があります。熱を吸収しにくいという点でも、白や淡い色のウェアを選ぶのが正解です。
3. 尾根道は野生動物の交差点?「クマ対策」
「薄暗い谷間には行かないから大丈夫」と油断してはいけません。実は、見晴らしの良い場所へ抜ける「尾根道(山の背)」は、クマにとっても移動しやすい「獣道」として頻繁に利用されています。山頂付近の開けた場所のすぐ脇が、クマの通り道になっていることは珍しくありません。
・避けるべき場所・時間帯
見通しの悪い茂みのすぐ隣:
開けた場所であっても、背後に深い笹ヤブや低木の茂みがある場所は、クマが潜んでいる(または突然出てくる)可能性があります。設営は茂みから距離を取り、全方位の視界が開けた場所の「中央」を選びましょう。
早朝と夕暮れ:
クマの活動が最も活発になる時間帯です。特に早朝のコンディションを狙って暗いうちから山に入る場合は、最大級の警戒が必要です。
・「音」で人間の存在をアピールする
クマとの遭遇のほとんどは「バッタリ出くわす(お互いに気づくのが遅れた)」ことで発生します。移動中はクマ鈴やホイッスルを鳴らし続けてください。
・【無線家特有の対策】ラジオやリグの音量を上げる
運用中、イヤホンやヘッドホンだけでワッチしていると周囲の音に気づけず、動物側も無音で座っている人間に直前まで気づかない危険があります。クマ対策としては「リグのスピーカーから音を出して運用する」のが非常に有効です。人の声(交信音声)は、クマに人間の存在を知らせる最高の警告音になります。
・最終兵器「クマスプレー」の携行
万が一に備え、クマスプレー(カプサイシン成分の撃退スプレー)を腰などの「すぐに手が届く場所」に装備しておきましょう。リュックの中に入れていては間に合いません。

こんな看板を見たら注意です!
●まとめ
夏の移動運用は、素晴らしいロケーションと良好な電波伝搬が楽しめる一方で、自然の厳しさと隣り合わせです。「日陰の確保」「肌の露出を避ける」「音を出す」という基本ルールを守り、体調に少しでも異変を感じたら、勇気を持って撤収する決断力も立派なスキルのひとつです。
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