おきらくゴク楽自己くんれん
2025年5月1日掲載
自称日本一ダメな道の駅 あゆの里 矢田川
皆さんこんにちは。暖かくなって充実してきた装備のテストと実用性のチェックを兼ねて移動運用小旅行に出かけてみたくなりました。だんだん日照時間も増え日が高くなってきたので100W太陽光パネルの実力チェックとミニPCの使い心地も確認したいものです。
今回はBluetoothを使ってスマホでバッテリー状態を確認することができる100Ahのリン酸鉄リチウムイオン電池に太陽光パネルをつないで無線機の電源として使用します。2~3時間無線運用した程度の電力なら太陽光で補うことができ、持続的に無線を続けることができそうです。
もう一つの大容量230Ahの電池は主に暖房やその他ユーティリティ電源として正弦波インバーターにつないでいます。300Wセラミックヒーターや寝る時に使う電気毛布用です。300Wヒーターは12Vインバーターで使うと約30Aが流れますので100Ahでは3時間しか使うことができないですから。電気毛布も正弦波でなければ使うことができないのですが、これは消費電力が40W程度なので十分余力があります。
どこに行こうか考えていたところ、一泊二日にちょうどいい距離感のところに面白い道の駅があることに気がつきました。モバイルシャックを作ってからはよく車旅系の動画で情報を見ています。車中泊に適した場所や施設、その近隣にあるスーパーや特産物販売所とか興味深い情報が沢山得られます。そんな中、道の駅の駅長自らが「日本一ダメな道の駅」を自称する兵庫県美方郡香住町にある「道の駅 あゆの里 矢田川」というところを見つけました。地域の動脈である国道9号と香住町の中心部を繋ぐ県道と清流矢田川の間にある道の駅です。
1999年の開業当初は大変賑わい輝きを放っていたのですが、近隣の道路事情の変化により車の流れが変わってしまい次第に業績が悪化し、ついに駅長が自ら「まじでつぶれる5日前!」とSNSで救済を求めるほどになってしまったようです。
そこで駅長は「日本一ダメなみちの駅」と自虐的なコピーを編み出しいろいろな独自の工夫をはじめました。施設内にロックバンドによる駅のテーマ曲を流していたり「あゆか」と言う萌えキャラクターを作ったり、その他駅長が繰り出す面白い催しなどがテレビやマスコミで紹介されて少しずつ利用者が増えるようなってきています。利用された方が上げている動画を見ているとなんだか行きたくなってしまいました。
その他の車旅行系動画を見ていると今度はうちからそう遠くない道の駅が旅雑誌の全国ランキングで1位を獲得していることを知りました。全国ランキング1位となっていたのは、京都府相楽郡南山城村にある「道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村」というところです。800年前からの緑茶の歴史が京都山城エリア「お茶の京都」から始まり天下人に引き立てられながらお茶を育む技術と文化が花開き、今もなお受け継がれているところだそうです。
全国トップとちょうどいい距離感の日本一ダメな道の駅、これを連続訪問して落差最大級の移動運用を思い立って計画してみました(笑)
6:40に「道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村」へ到着。土曜の朝ですが昨日から車中泊だと思われるキャンピングカーも数台停まっていました。休みの日のこういった場所、穏やかな雰囲気がなんともいいものですね。まだ駐車場は空きが多い状態でしたので、適当な所で垂直にロッドアンテナを延ばし8:25まで移動運用を楽しみました。1台分の駐車スペースで安全に無線運用ができるのがこのシステムの強みです
朝の移動運用風景
南山城村は京都府唯一の村
相楽郡南山城村は京都府で唯一の村なので結構レアな場所です。沢山呼んでいただき48QSOすることができました。太陽光パネルを接続した状態で無線運用はこの時が初めてとなりました。気になるノイズ問題ですが、この時は未だ太陽は山の陰でパネルに直射日光が当たっていませんでしたので特に支障はありませんでした。次の移動地では太陽を浴びた状態で運用してみましょう。初移動となったミニPCからのノイズも気になることはなくて一安心です。今回は新しく購入したPDモバイルバッテリーでPCをDC12Vで駆動します。
道の駅施設の営業開始は9:00からでしたが、時間の都合で8:30頃出発し香住町に向けて出発となりました。交通費節約のため極力高速道路を使わないので早めに出発する必要がありました。今回は京都府南部を高速道路を使い市内を抜けてから、一般道を通って「あゆの里 矢田川」に向かう節約ルートです。おもてなし抜群の道の駅を体験したかったのですが次回訪問時の楽しみにとっておきましょう。
走っている間の太陽光パネルから充電が期待されるのですが、今回は大体が北に向けての走行となるため、正面からの日光に備えて取り付けられた太陽光パネルではあまり発電してくれていませんでした。しかし休憩などで停車するタイミングでは太陽に向けて車を停めるように努めます。
休憩中は太陽に向けて停車
写真は13:00過ぎに休憩に立ち寄った「道の駅 農匠の郷やく」のという所です。13時台に福知山市内で移動運用実施。あいにくの昼コンディションでしたが15QSOすることができました。
この時も晴天下で十分に日光を浴びて、太陽光パネルからも70W以上の電力が出ていました。その分コントローラーからのノイズは盛大でIC-7300Mで見てみると7MHz帯ではノイズが酷く10MHz帯に逃げたいような次第です。10MHz帯でもSにして1~3程度のノイズがありましたので、試しに太陽光パネルからコントローラーへの端子を外してみたらノイズが気にならなくなりましたので、運用時には太陽光パネルとコントローラーの接続を切るスイッチを設ける必要があると感じました。
15:00頃養父市内を走行中に道沿いにあったスーパーで夕食の食材を購入します。まだ夜は冷えるでしょうから一人用の寄せ鍋セットを買いたかったのですが、なかったので仕方なく一人用鍋に入ったうどんを買ってうどんのツユを使い鶏肉やエビ、豆腐を投入して寄せ鍋にしようとたくらみました。
スーパーを出てしばらく国道9号を走ると香住町に向かう県道に入り、さらに走るとついに「あゆの里 矢田川」に到着しました。
遂に到着しました
到着後RVパークの受付をします。RVパークとは日本RV協会が『快適に安心して車中泊が出来る場所』を提供するために定めた条件を満たす車中泊施設です。24時間利用可のトイレ・100V電源・近隣に入浴施設がある・ごみの処理が可能などの要件を満たした施設で全国各地にありここでは「RVパーク香美の隠れ家ときめき矢田川ヴィレッジ」という施設が道の駅に併設されています。道の駅では駐車場に車を停めて就寝することは問題ないとされています。ここもそうですがRVパークも設けてより利用者の利便性を高めようという考えなのでしょう。料金も通常1,500円に今回は500円の電源使用料を追加して合計2,000円と全国の他施設と比べて格安に設定されています。ちなみにキャンプ場もありますので普通のキャンプ利用も可能です。
こういった施設を利用しなくても移動しながら寝ることができるようモバイルシャックを作ったのですが、今回はこの道の駅の心意気を買って少しながら利用を増やさせもらおうと今回特別に利用させてもらう事にしました。
事前に予約をしておこうと数日前に電話を掛けさせてもらいました。すると冬の間RVパークは休止していますが、「雪もかなり解けたので貴方が来るなら再開します」といった感じのゆるーい対応でなんだかほっこりとしてしまいました。これで私が今シーズンこのRVパークの初めての利用者となりました(笑)
RVパークの受付を済ませた
上の写真のハイエースで来られていた75歳くらいの方がシャックを指差し「コレ自分で作ったの?」と声をかけてこられました。「はい、こんなの自分でしか作れませんよ」と答えると話が弾み、自慢の車中泊仕様の車内も見学させてもらいました。数多くのポータブル電源に照明・電子レンジなど大変充実した装備でした。阪神地区の方で2週間くらいの一人旅を繰り返しておられるそうです。ちなみに2週間の制限は通院の都合だと言って笑っておられました。今日はこの先日本海側まで鳥取あたりで寝る予定だとか。お話の後「また今度旅先のどこかでお会いしましょう」と再会の約束をしてお別れしました。
愉快な注意喚起ポスターが各所に
受付は噂の駅長さんが対応してくれました。聞いていた通りの大変ユニークな方です。昨日、道の駅建屋からRVパークに降りる階段にLED照明をつけておいたと言うことでした。おかげで夜の階段を安全に上がることができました。経費節減の為に自分で出来ることは出来る限り自分でやられているそうです。各所にその姿勢の跡が感じられ頭の下がる思いでした。
看板裏の道を降りるとRVパーク
一人貸し切りの状態でした
到着時気温は14℃でしたがまだ多くの雪が
施設のど真ん中の電源ボックス鍵をもらいましたので位置を確認したあと、割引券をいただいた日帰り温泉に入りに行きました。先にチェックインしておいて正解でした。先に温泉に入ってしまってからのチェックインでは割引を受けられませんからね。
RVパーク利用者は近くの日帰り温泉割引券がもらえます
日帰り温泉施設まで車で15分
外気温は5℃以下で外食事するには寒すぎました
温泉から戻り5.6mロッドアンテナを立て運用を開始したのですが、ローバンドのコンディションが悪く11QSOに留まりました。それでは、とお愉しみの一人宴会に突入します(笑)。今回初導入のカーサイドタープを張って外での夕食を楽しみたかったのですが、まだ雪が残っているくらいです。さすがに夜は冷えて寒くて震えながらの一人鍋となりました。この日は100V電源を借りることができましたので、室内暖房は300Wセラミックヒーターを使い230Ahバッテリーの出番は電気毛布だけに。セラミックヒーターと電気毛布で暖かく夜を過ごすことができました。
お天気が良かったので放射冷却による冷え込みが心配でしたが、そこそこの冷えで済んだことに春を感じながら朝を迎えました。
さわやかな朝を独り占め
昨夜は1.9~3.5MHz帯がふるいませんでしたので、朝から7~14MHz帯までを運用し、74QSOすることができました。そのあとすぐそこにある川原まで行きじっくりと流れを眺めたりして過ごしました。自宅も山の中なのでこういった光景には慣れているはずなのですが、矢田川のような大きな川はないので地域が変わると少し自宅近辺とは違う季節の進みを感じ取ることができて面白かったです。どこにでも春は平等にやってくるのですがその変化の仕方は色々あるようです。
出発前に矢田川定食をいただきました
チェックアウトも14時までとゆるいのですが済ませてから食堂で昼食をいただきました。「あゆの里」というくらいですから天然の鮎がメインの定食をいただくこと。丁寧に焼かれた心のこもった鮎の塩焼きを美味しくいただきました。
太陽の向きに合わせて停車
帰りは渋滞が激しくなると一般道だといつ帰ることができるかわからなくなるので、高速道路を使いました。途中のサービスエリアでは少し時間を長くとり西向きに車を停め電力を蓄えます。出発時にはほぼ無線運用に使った電力を全て回復することができました。
このように太陽光で電力の補充と今回の施設のような所でAC100Vも使い、電力を確保することで持続可能な長い移動運用旅も可能なことに自信を持つことができました。といってもそんな時間はなかなか作れないのですが・・・。また実際の運用の中でいくつかの問題点も浮かんできました。今後も一歩ずつ改善していこうと考えています。
帰宅後、数日して香住町の運用時に1.9MHz帯で繋がったOMさんからQSLがSASEと共に届きました。香住町がファーストだという事でしたが、少し前にも別の移動地で繋がった時もSASEを送ってこられていて、その時のお礼の言葉も書いていただいていました。リアルQSLカードは普通に待つと1年以上かかってしまう昨今、大変マメに活動をなされていて頭が下がります。すぐにお返事を添えてQSLを送らせていただきました。電子QSLシステムも早くすぐに処理ができて良いのですが、こういった気持ちが伝わるリアルなやり取りができる文化もいいものですね。
今回、移動運用としては特に変わったことはしていませんが、楽しいユニークな体験をすることができました。ある意味で落差最大の移動運用旅でした。偶然にも2地点が移動に無理のない距離にあったことで実現できました。時にはこんな移動運用も楽しいですね。
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