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アマチュア無線の今と昔

第45回 浦島太郎になって迷っているカムバック組の皆様へ

JF1KKT 横田勝彦

2026年8月3日掲載

スマホの「5G」とWi-Fiの「5G」の違い、素人さんにどう説明する?
~アマチュア無線家目線で紐解く「G」の正体~

今回はアマチュア無線家らしく(?)、私たちの身の回りにあふれている「電波」に関する身近な疑問を取り上げてみたいと思います。友人や家族から「スマホの5Gと、家のWi-Fiの5Gって何が違うの?」と聞かれたことはありませんか? どちらも同じ「5G」という言葉が使われているため、一般の方には非常に紛らわしい存在です。

私たちアマチュア無線家は「地域の電波の専門家」でもあります。今回は、この2つの「5G」の違いを整理し、素人さんに「なるほど!」と言ってもらえるスマートな説明方法を、無線家目線で紐解いてみましょう。

結論: 最大のルーツは頭文字「G」が意味する英単語の違い
結論から言えば、この2つの「5G」は、そもそも「G」が意味している英単語が全く異なります。


「5G」の違い

一般の方に説明する際は、まず「スマホの5Gは『第5世代』というバージョンの話で、Wi-Fiの5Gは『5ギガヘルツ』という周波数(電波の種類)の話なんだよ」と伝えるのが最も手っ取り早い解決策です。それでは、無線家目線でもう少し深掘りしてみましょう。

1. スマホの「5G」= 第5世代(Generation)
スマホの画面の上に表示される「5G」は、「5th Generation(第5世代移動通信システム)」の略です。1G(アナログ)、2G(デジタル)、3G(高速データ、例えばiモードなど)、4G(LTE)と進化してきた、通信方式の「バージョン」を指しています。

・【無線家目線の解説】
一般には「世代」の話ですが、我々無線家としては「どんな周波数を使っているのか」が気になるところです。日本のスマホ5Gには、大きく分けて以下の周波数帯が割り当てられています。

Sub6(サブシックス):
3.7GHz帯、4.5GHz帯など(SHF帯)
ミリ波:
28GHz帯(SHF帯)
4G周波数帯の転用:
700MHz帯、800MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯など(UHF~SHF帯)

我々が普段親しんでいるVHF/UHF帯(144MHz帯や430MHz帯、1200MHz帯)と比べると、非常に高い周波数です。特に28GHz帯のミリ波ともなれば、電波の直進性が極めて高く、建物の陰に回り込む(回折する)ことはほぼありません。そのため、キャリア各社は多数の基地局を細かく設置する「スモールセル化」や、電波のビームを特定のスマホに向ける「ビームフォーミング技術」を駆使してエリアを構築しています。

2. Wi-Fiの「5G」= 5ギガヘルツ(GHz)
一方で、自宅のWi-Fiルーターの側面に貼られたシールや、スマホのWi-Fi設定画面に出てくる「Buffalo-5G-XXXX」「Buffalo-A-XXXX」などのような表記。この「A」や「5G」と呼ばれるものは、「5GHz(ギガヘルツ)帯の周波数」を指しています。

・【無線家目線の解説】

Wi-Fiには主に「2.4GHz帯」と「5GHz帯」の2つの周波数が使われています。
ルーターのSSIDにある「5G」は、単に「こちらは5GHz帯の電波を出していますよ」という目印に過ぎません。

2.4GHz帯:
障害物に強く遠くまで届きやすいが、電子レンジやBluetoothと干渉しやすい。アマチュア無線の2400MHz帯とも一部重複。
5GHz帯:
直進性が高く障害物(壁など)に弱いが、帯域が広く高速通信が可能で、他の家電と干渉しにくい。

実はこのWi-Fiの5GHz帯(5.1~5.7GHz)、我々アマチュア無線に割り当てられている「5.6GHz帯(5650~5850MHz)」のすぐ隣(一部重複)に位置しています。我々にとっては非常に親近感の湧く(?)周波数帯なのです。

※補足の豆知識(さらにややこしい話)

近年、Wi-Fiの規格名(IEEE 802.11acなど)が分かりにくいということで、業界団体が「Wi-Fi5」「Wi-Fi6」という世代(Generation)の名称を導入しました。これにより「Wi-Fiの5G(5GHz)」と「第5世代のWi-Fi(Wi-Fi5)」が混在し、混沌に拍車をかけています。素人さんに説明する時は、この話は混乱を招くので伏せておくのが無難です。

素人さんに説明する時の「黄金のフレーズ」
いざ家族や友人に聞かれたら、専門用語(SHFや直進性など)はグッと飲み込んで、次のように説明してあげてください。

「スマホの5Gは『クルマのモデルチェンジ』みたいなもの。第4世代(4G)から進化した第5世代の通信システムのことだよ」

「Wi-Fiの5Gは『電波の通り道(周波数)』のこと。2.4GHzと5GHzの2種類の道があって、5GHzの方が広くて渋滞しにくいから、同じ部屋で動画を見るなら5Gに繋いだ方が速いよ」

「つまり、スマホは『新しい仕組み』、Wi-Fiは『電波の種類』。たまたま同じ『5G』って名前になっちゃっただけなんだ」

これだけで、きっと「さすが詳しいね!」と尊敬のまなざしを向けられること間違いなしです。


モデルチェンジを繰り返して進化します

電波は目に見えませんが、私たちの生活を根底から支えています。世の中の「電波のギモン」を分かりやすく周囲に伝えていくことも、アマチュア無線家の腕の見せ所かもしれませんね。

なおご意見、ご感想、ご質問等については、筆者である私宛(jf1kktアットマークgmail.com)へご連絡頂けますと幸いです。

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