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おきらくゴク楽自己くんれん

その49 移動運用で確かめるモバイルシャック装備とルームツアー

JF3LCH 永井博雄

2025年6月2日掲載


ALL JAコンテスト移動風景

皆さんこんにちは。小旅行を行いながら移動運用をして使い勝手を向上させたことを確認しましたが、いろいろ改善点も浮かんできました。そんな面も変えて行きながら、今回は現在のモバイルシャックのルームツアーしてみたいと思います。

1. モバイルシャックルームツアー

まずはでき立てほやほやの頃のモバイルシャック内の様子をご覧いただきます。


でき立ての頃のスッキリした室内

この頃はまだなにもなかったのでシンプルなものでした。運転席に近い奥にDC電源盤を設置、同軸ケーブルは壁に開いているφ67のフタ付き穴からの引き込みしかありませんでした。12.8Vリチウムイオン電池も50Ahと今から思えばかわいらしいものでした。

変わって、先だってのALL JAコンテスト移動時のDC電源盤周辺の様子です。


ALL JAコンテスト移動時の様子

なんだかゴチャゴチャになってきました(笑)。φ67だった同軸用壁貫通穴は、夏場ミニスポットエアコンの熱風を排出する為にφ100に拡大。DC電源盤はソーラーコントローラーを介して100AhのBluetooth付リチウムイオン電池に接続されています。運転室屋根に設置している100Wソーラーパネルからの配線も上のコントローラーにつないでいます。コントローラー下の赤いツマミはバッテリースイッチです。WEB通販で安く売られているものです。リチウムイオン電池は短絡電流が大きいので、万一の時に遮断できるようにしないといけないのでスイッチ設置。DC12~48V対応275Aとありましたが定格電流なのか遮断可能な電流なのかあいまいですが、どちらにしても100Ahの電池に対しては十分に大きいので問題ないでしょう。

手前に縦付けにされている黄色い装置は格安で購入した750W矩形波インバーターですが、これはベッド下に設置している230Ahのリチウムイオン電池に接続されています。


ベッド下設置の230Ahリチウムイオン電池を充電中

同じ電池に接続しているインバーターはもう一台あり、電池に寄り添わせて正弦波1000Wインバーターを設置しています。これは正弦波でなければ駆動できない負荷(電子式毛布など)に使用する為です。この2台のインバーターは無線機用電源とは切り離して使うことで運転ノイズの影響を最小限にとどめています。写真はAC100Vからの充電中でベッドを上げています。充電器は14.4V 20Aのファンレス充電器で充電中はかなり熱くなりますが、ファンが無いので静かで快適な充電が可能です。20A出力なので空の230Ahの電池は12時間弱で充電することができる計算です。

【くんれんコラム】
DC/ACインバーター正弦波・矩形波の使い分け



1000W正弦波と750W矩形波インバーター

どちらもお買い得品を手に入れたものですが、それぞれに長所と短所があるので比較して用途にあった使いかたをしています。


実施している使い分けを簡単にいいますと、無線運用中極力インバーターを使わないようにして、必要な時はノイズの少ない矩形波を使用。運用していない時や寝る時の電気毛布や夏の冷房などを使う時は正弦波を使うという感じです。

私のミニスポットクーラーは電子コントロールなどは使っていない単純動作ですので効率の良い正弦波インバーターを使う方が電池の持ちもいいですし、何よりインバーターからの排熱が少ないので冷房の効きも良くなると考えます。その上回るとうるさいインバーター冷却ファンですが比較的短時間で止まりますので、冷房したまま寝る時もうれしいです。矩形波インバーターはPCに不向きとされていますが、これまでPC電源に矩形波インバーターを使って不具合が起こったことはありませんでした。今使用しているミニPCも矩形波インバーターで問題なく使えています。しかしこれはあくまで私の経験です、同じように使われる方は自己責任でお願いします。

2. 電源関係以外の部分

室内のオペレートテーブルは、製作当初複数人での就寝に対応する為に折畳み式になっていました。しかし幅が1mもないためリグやキーボードなどを置くとその他のモノが置けないため延長を考えていたのですが狭い室内です、不要な時には簡単に撤去ができるようにしないといけません。そこで本連載その44で紹介したローコスト簡易シンクを収納して、かつ簡単に設置し使用できる工夫が必要でした。そこで最低限のテーブル延長策をとります。


走行時は簡易シンクを床置き

走行する時はオペレートテーブル後方の床に置いて、現地で使う時に前にテーブル延長部分に上げて使えるようにしています。


適切な高さのL金具板受け


前のテーブルとL金具に板を載せてクランプで固定


現地で上に出して使用します

延長した板には電気コンロなども置くことができるので調理台としても使えます。シンク使用時に水をくみ上げる黄色のポンプは、リチウムイオン電池内蔵で一回充電すれば数時間水をくみ上げることができるため、ポンプ電源の心配はほとんどありません。ポンプはダイヤフラム式だと思います。何回か充電するほど使えばダイヤフラムが破れて使えなくなるでしょう。それであれば長寿命の充電池がもったいないですね

3. その他の箇所


後方の壁

後方の壁面にもいろいろ取り付けました。右の黒のプラスチックケースにはガスコンロとCB缶やライターなど火器関連の物を入れています。左に木製のペン立てを壁につけたもの、その下のティッシュケース。白くて丸いのは乾電池内蔵のプッシュ式ライトで室内照明を落とした後にちょっと探し物がある時など便利です。いずれも100円均一で入手したものですがとても便利に使えています。


消臭ビーズで調理後の対策

作って一年くらいは新築の家の香りがしていたのですが、何度か室内で煮炊きをしたためか食材の匂いが残るようになってきました。写真の瓶にさわやかな香りの消臭ビーズを入れておいて匂いが染みつくのを予防しています。


シャック前方上部棚

これまで毛布やまくらなどは走行中もベッドの上に置きっぱなしにしていましたが、どうにも邪魔なのでシャック前方上部にあり合わせの棚受けを使い収納スペースを作りました。この辺りの空間はなくなっても室内での動きに全く影響がないので作って良かったと感じています。

4. ALLJAコンテスト

24時間と開催時間が長いALL JAコンテストで増殖した設備の使い勝手を検証できると勇んで出かけましたが、肝心の50W機を家に忘れてきてしまいました。仕方がないのでたまたま持参していたIC-705を使いQRP部門で参加することにしましたので、ほとんど電力を使わずコンテストを終了してしまいました。


約7mHの逆Vダイポール

予定していなかったQRP部門での参加ですが、それなりのアンテナを使っていれば結構沢山の交信ができるのでストレスなくコンテストを楽しむことができました。日が昇り日射がパネルに当たると充電コントローラーからのノイズで受信の影響が大きかったので、とりあえずコントローラーの端子を浮かせて充電しないようにしました。無線運用中は簡単に充電を切ることができるようスイッチを設ける必要があることを感じました。


サーキットブレーカーをパネル遮断器に代用

帰宅後、使わなくなっていた50Aサーキットブレーカーを断路器として仮設流用することにしました。このブレーカーは30A以下の連続でトリップしてしまうため外していたのですが、100W太陽光からは8A以下の電流しか流れないのでブレーカーは切れる心配はないと判断しています。切れるようにしたのはいいのですが、私の事ですから入れ忘れて充電できてないなんてことは必ず起こるでしょう(笑)

5. 関西VHFコンテスト

今度こそは、ということでリグの忘れ物のないように関西VHFコンテストにマルチバンドで参加しました。


関西VHFコンテスト移動風景

今回使用するリグはIC-9700&IC-7300M。アンテナは28MHz: AH-730+5.6mロッドアンテナ、50MHz: デルタループ、144MHz: ダイヤモンドDP-NR22L、430MHz: 自作8段コーリニアの布陣です。ALL JAとは違って15時間のコンテストですが、2台のリグの電源を100Ah電池でガンガン使っていきましょう。

貧弱なアンテナ設備でしたがロケの良さもあり快調に交信数を増やせました。28MHzと50MHzはEスポ発生で8や7エリアともつながってとても楽しむことができました。コンテストの結果も楽しみです。コンテスト開始前に満充電にしてあった100Ah電池は、コンテスト終了時には63.5Ahの残量でした。これでコンテストで使用した電力を簡単に計算します。

100-63.5=36.5Ah
36.5Ah×12.8V=467.2Wh

約467Whの電力を本コンテストで使用したという事になります。

帰宅後ソーラーパネルでの充電で100%まで電力を回復しましたので、これで今回のコンテストで使ったエネルギーの全てを太陽光で賄うことができたことになります。エコなコンテスト移動運用をすることができました。

6. まとめ

100%自然エネルギーによるエコなコンテスト移動まで実現できて一つの山を越えた気がしました。シャックの細かい所はまだまだ気になるところもがありますが、一つの形ができてきたのではないかと思います。とはいえ次回からはアンテナ・同軸ケーブル関係の改善などまだやりたいことがでてきますが、この形であちこち訪れてみようかとも考えています。それではまた。

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