Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

おきらくゴク楽自己くんれん

その54 悩み多きモバイルシャックの空調と電源

JF3LCH 永井博雄

2025年12月1日掲載


12.8V230Ahリチウムイオン電池とAC100V正弦波インバーター

皆さんこんにちは。少し前の話となりますが今年のハムフェア参加で、東京都内公園駐車場でモバイルシャック泊を敢行した時、体調不良とあまりの暑さ(外気温32℃)に逃げだしてしまいました。今回はこの事件? を元にモバイルシャックの電源について考察します。

1. モバイルシャックの電源現状

モバイルシャックを作ったすぐの頃は、それまで移動運用で使っていた12.8V50Ahのリン酸鉄リチウムイオン電池を載せて、運用の都度自宅でAC充電器を使うというものでした。50Ahという容量は1日移動運用するには十分な容量ですが、室内照明やその他の用途での電源とすると足りないものでした。そこで思い切って100Ahの電池を導入。これはBluetoothが搭載されており、スマホで残容量などの情報が確認できるなかなかの優れモノです。しばらくはこの100+50Ahで快適に過ごしていましたが、夏の夜を過ごす為に冷房を考え出すとこれでも足らなくなるため、思い切り230Ahという大容量の電地を買うことにしました。これは冷房を使わなければ永遠とはいきませんが、無線運用ではとても使い切ることなどありそうにない大容量電源を手に入れる事ができたわけです。さらに今年の初めからは太陽光パネルを載せましたので、好天が続けばそれこそ外部からのエネルギー供給なしで移動運用を続けられるか? というところまでこぎ着けました。


矩形波インバーター出力750W

2. モバイルシャックの空調

もちろん冷暖房となると無線用より大きな電力が必要となりますので、太陽光パネルでは追い付きません。冷房に使っているミニスポットエアコンは圧縮機を使った家庭用エアコンと同じ仕組みの装置です。違う点は室内機と室外機が一つの形となっているところです。圧縮機の定格出力は0.145kWと小さいのですがそれでもそれなりの電力を要します。本来吹き出す冷たい風は家庭用のエアコンのように循環して部屋全体を冷やす目的の物ではありません。それでも狭いモバイルシャック室内であればそれほどの能力は必要ないと判断しました。もっとも大きな能力のエアコンを使えばそれだけ電池の消耗が激しいので使うことができません。それを考えるとちょうど良い大きさとも言えます。最も重要な点は2万円台という価格がとても魅力です。というよりその価格だから買うことができたと言えるでしょう(笑)。冷房能力の不足は工夫で乗り越えるつもりでした。


使用しているミニスポットエアコン

このスポットエアコンであれば230Ahの大容量電池で2夜は持つと想定していました。この設備で昨年のハムフェア車中泊では外気温30℃という過酷な条件下で十分に快適に夜を過ごすことができました。これで電源に余裕を持たせることが出てきたと感じていました。しかし冷房用コンプレッサーというものは気温が高いなど厳しい条件で使うと定格を大幅に上回る電力を消費することを甘く見ていたようです。

3. 今年の東京の夜の暑さは異次元でした

昨年結果を出していたので今年も夜の不安はありませんでした。外気温は32℃、昨年の夜は30℃程度でした。これではいくら換気扇で外気を導入しても32℃の風が入ってくるので温度は下がりません。昨年よりもクーラーの威力が試されるのです。条件が厳しいのはわかっていましたが、最低でも湿度が下がれば寝ることはできるだろうとたかをくくっていました。しかしいくらエアコンを運転しても冷たい空気が出るのですが室内気温は下がりません。スマホでバッテリーの消費電流が見えるのですがどんどん数値が上がってきます。25A(320W)を越えついには30Aに届きそうなくらいになってきました。こんな状態ではいくら大容量電池でもきりがありません。そんな状態が続きとても寝ることができそうになかったので車中泊は諦めることになり、ハムフェア2日目は不参加という残念なことになりました。


公園の有料駐車場での車中泊

次ページは「冷房不良の原因」

おきらくゴク楽自己くんれん バックナンバー

2025年12月号トップへ戻る

サイトのご利用について

©2025 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.