Monthly FB NEWS 月刊FBニュース 月刊FBニュースはアマチュア無線の電子WEBマガジン。ベテランから入門まで、楽しく役立つ情報が満載です。

Summits On The Air (SOTA)の楽しみ

その107 登山にチャレンジ-6

JH0CJH・JA1CTV 川内徹

2026年9月15日掲載

今年度のテーマとして「登山にチャレンジ」というテーマで、これから登山を始めてみようという方のために安全管理そして楽しく山に登ることのできるように初歩的な内容の記事を投稿しています。登山ガイド、国際マウンテンリーダーの資格保持者である筆者からの知見でいくつかに分けて掲載してみたいと思います。

登山はとても楽しいスポーツ、レジャー、リクリエーション活動です。しかし一歩間違うと直接「死」に直面する面もあります。これら登山の危険な面をあらかじめ知っておくことで、その対策にもなり、また実際にその危険に立ち向かったときの対処の参考ともなりますので、あらためて体系立ててまとめてみたいと思います。単に漠然と登山は危険という認識では何も役立たず、登山という楽しさを体験できませんので、具体的にどんな危険があるのか、そしてそこから危険を避ける判断につなげていただけたらと思います。

増水・鉄砲水

最近は不安定な天候が続きますね。この夏は線状降水帯の突発的な発生で、九州、千葉県、北陸地方、いたるころで増水、洪水の被害が多発しています。海外においても8月26日にネパール、ランタン・リルン北面で起きた氷河の大規模崩落による土石流はその下流域での甚大な被害が報道されています。多くの犠牲者、そして数千人規模の行方不明者がおり、安否確認ができていない状況となっています。亡くなられた方々のご冥福を祈るとともに、心より行方不明の方々の無事を願う毎日です。

登山におけるリスクは、今までに掲載した通りいくつかありますが、増水・鉄砲水のリスクはあまり注視されないことが多いようです。しかし、台風や近年多発する線状降水帯による集中豪雨により、予期せぬ被害が各地で多発しています。また今回ネパールで発生したような気候温暖化に端を発する氷河の崩壊など新たなリスクも増えています。

特に山間部の谷あい地形、そして高山では保水層と呼ばれる積層土が少なく、多くの降り注ぐ雨は直接、谷あいを流れる水流となり、周辺の水流を集め谷地形に集中します。この水流による浸食によって、鉄砲水、土石流として大きな岩や大木、森林をも巻き込んで地形が崩壊します。もともと山、森は保水能力を持つ天然のダムとしての役割を果たしていますが、気候変動に伴う通常の雨量を大きく超えるような環境下では、これは大きなリスクとなります。


水の流れる力は想像以上です。緩やかに流れるプールの中であっても、おなじ場所に立っていることはできません。これは流れる水が体を押す「動水圧」によるものです。水には重さがあります。それがある一定のスピードを持って自分の体に継続して掛かります。さらにこれに加えて浮力の影響があります。

このような状況では、その場に立っていることもできず、バランスを失って一気に流されてしまいます。一般的に膝よりも水面が高い水流の中では流れに逆らうことは困難です。その水流が土石流とともに襲い掛かるような状況においては、もはや事後の対策は不可能です。天候に合わせ、谷筋、沢筋のルートを避けるなどの未然対策が必須となります。

しかし、ここで厄介なのが、この増水・鉄砲水は降水時だけのリスクではなく、降水のあった後、数日間このリスクが継続することです。台風一過のような青空の元ではこの感覚が大いに麻痺してしまいます。登山のルート検討では是非、数日前からの天候と降水量、そして地形を考慮してルート選定をしていく必要があります。

SOTA日本支部では8月29、30日、東京、有明GYM-EXで開催されたハムフェア2026に今年も出展いたしました。多くの方々の来訪を受けましたことにあらためて感謝申し上げます。

SOTA日本支部ではSlackを使ったコミュニティプラットフォームがあります。すでに100人以上のSOTA愛好家の方々が参加されています。このコミュニティに新たに参加をご希望の方は私宛のメール、ja1ctvアットマークjarl.comでも結構ですし、SOTA日本支部のホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。登録案内を送らせていただきます。

Summits On The Air (SOTA)の楽しみ バックナンバー

2026年9月号トップへ戻る

サイトのご利用について

©2026 月刊FBニュース編集部 All Rights Reserved.