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日本全国・移動運用記

第21回 北海道移動

JO2ASQ 清水祐樹

今年も4月末~5月初めの大型連休を利用して、北海道での移動運用に出掛けました。この時期はEスポ(スポラディックE層)と呼ばれる特別な電離層が発生することがあり、普段は国内近距離の局はあまり聞こえないHFのハイバンドや50MHzで一気に多くの局から呼ばれる、格別の楽しみがあります。

一方で、地域によっては、この時期でも雪が降る可能性があり、また濃霧や強風で車の運転が困難になる状況も珍しくなく、大自然の厳しさを実感する場面もあります。

運用スタイル

北海道では、チェーン脱着や休憩のための駐車場が多く設置されています。そこで休憩しながら、簡単な釣竿アンテナ(例:2013年4月号に掲載 http://fbnews.jp/201304/rensai/jo2asq_idouunyou_benrigoods_01_01.html)でHFの全バンドを運用するスタイルにしました(写真1)。多くの市町村で移動運用しようとすると、それぞれの市町村間の移動距離が長く、時間がかかるので、設営にできるだけ時間を掛けずに、運用時間を長く確保しようとする戦略です。


写真1 釣竿アンテナを用いた運用の様子

北海道では路面が整備されていない場所が多く、農道や河川敷に不用意に立ち入ると、タイヤが地面に埋もれて動けなくなるなどのトラブルも考えられます。舗装されているか、十分に踏み固められている安全な場所で運用することを心掛けました。

天気もコンディションもあまりパッとしない序盤

大型連休の最初の土日である4月29~30日は伊達市に宿泊することにして、29日は道央道の沿線、30日は虻田郡の町村で運用しました。フェリーで苫小牧東港に到着した時には小雨が降っており、第一印象は「暑い」。この時期は最低気温が0℃近くになる年もあり、車中泊のために完全防寒体制で臨みました。しかし到着時の気温は10℃近く、少し動き回ると顔から汗が滴りそうでした。雪の心配が無いことは大変ありがたいです。

28日金曜日の夜から白老郡白老町でローバンドの運用を開始。22時を過ぎており、国内向けには1.9/3.5MHzがメインバンドとなります。7MHzは近距離が聞こえず、翌朝以降に持ち越しとなります。ローバンドはそこそこ好調で、今後の展開に期待できました。29日は天気が良く観光日和。しかしハイバンドの伝搬がパッとしない感じで、国内交信のメインバンドである7MHzと10MHzで交信数を稼ぐことに終始しました。山越郡長万部町のローバンドのリクエストが多く、後述のトラブルにもめげずに十分な体制で臨んだものの、コンディションが悪くあまり多くの局と交信できなかったことが心残りです(写真2)。


写真2 山越郡長万部町での運用の様子

30日は伝搬の状態を見ながら虻田郡(後志)の町村をいくつか回る計画にしました。事前の調査で最もリクエストが多かったのが虻田郡(後志)倶知安町でした。午前中は依然として7MHzと10MHzしか聞こえない感じでした。雨模様の天気で、観光地も閑散としていました。ところが、午後に倶知安町に到着して運用を開始すると本格的なEスポが発生し、14~28MHzの各バンドで国内の多くの局から一気に呼ばれる状態になりました。7MHzと10MHzで軽く運用するつもりが、Eスポで3時間呼ばれっぱなし。食べ物や飲み物を十分に用意しておらず、トイレも近くに無かったので、最後は呼ばれなくなったタイミングを見計らって半ば強引に抜け出す格好になりました。4月末の北海道で強力なEスポは今まであまり経験がなく、このような展開は事前に予想ができませんでした。

1日は上川郡(上川)のいくつかの町で運用したものの、電離層の状態は普通。夜のローバンドの伝搬が悪く、ここでもあまり交信できなかったことが残念でした。2日は士別市、名寄市、中川郡(上川)へと北上しました。中川郡(上川)美深町では夜間の運用中に弱いながらEスポが発生し、パイルアップを楽しめました。

5月3日からは、連日のEスポ発生で大パイルに

3日は中川郡(上川)音威子府村、枝幸郡中頓別町、枝幸郡浜頓別町などで運用しました。音威子府村では午前7時台からEスポが発生。そこからコンディションが絶好調で、行った場所全てでパイルアップが続きました。天気の方は快晴でありながらも内陸部は猛烈な強風で、釣竿アンテナをロープで固定しながらの運用でした。4日の昼間は常呂郡佐呂間町の河川敷(写真3)、夕方は斜里郡清里町の公共施設に面した路肩の空き地で運用しました。夕方になり強力なEスポが発生して長時間続き、ここでは4時間以上も各バンドで呼ばれ続けました。


写真3 常呂郡佐呂間町での運用の様子

5日の夕方に運用した厚岸郡厚岸町では、さらに強力なEスポで50MHzが国内全域にわたって聞こえており、1年に1度あるかどうかの絶好のコンディションでした。50MHzのパイルアップは、呼ばれる局がHFとは少し違っており、海外から突然呼ばれたり、伝搬状況が急変してフワフワした信号になったりすることもあって、普段のパイルアップとは違った新鮮な感じがしました。
50MHzのEスポでは1交信を短時間で終わらせることが重要で、瞬時の判断力を要求されることが面白さの一つです。また、強力なEスポではアンテナの種類があまり関係しなくなるので、普段の運用では性能的に不足を感じる1.5mの電線1本のアンテナでも、Eスポでは日本全国や近隣諸国から呼ばれっぱなし、しかしEスポが無くなると全く聞こえなくなる、という面白さがあります。

6日はハイバンドの状況はあまり良くなく、逆に今回の移動運用であまり良くなかったローバンドが好調でした。4月末~5月初めの大型連休の期間のうち、例年はHFのハイバンドで呼ばれ続ける状況は1~2日あるかどうか?という感じでした。今年は伝搬状況の良い状態が続き、また各種アワードで北海道の市町村と交信する需要が高まっていることもあって、1日1000交信を超えることが何日も続きました。そのため観光や食事の時間が確保できず、ある意味ではもったいない移動運用でもありました。

最終日も一転してEスポ発生

最終日の5月7日の午前は電離層の状態があまり良くありませんでした。天気が良く、ちょうど桜のシーズンでもあり、観光客で賑わっていて食事などを確保するにも時間がかかるため、行動パターンを決めるのに迷っていました。新冠郡新冠町は馬の放牧が盛んに行われており、河川敷などの広い場所が牧場(私有地)になっていたり、公園では写真を撮りに来られる観光客で賑わったりしています。そこで人通りが無い漁港の敷地で運用することにしました。16時過ぎに新冠郡新冠町で運用を開始すると、伝搬の状況が一変しました。

17時台はXWシリーズと呼ばれる中国の衛星が5機連続してやってきます。それらの衛星を運用する前のわずかな時間で、7MHzや10MHzでパイルアップになっても困るので、誰にも聞こえないだろうと、半分冷やかしのつもりで28MHzを運用してみました。ところが、ここで予想外のEスポが発生しており、パイルアップが発生。最終日も各バンドでパイルアップが続きました。また、札幌からの信号が独特のフェージングを伴って聞こえてきたことも特徴的でした。直接波、地表波、電離層反射、スキャッター(散乱)など、どのような伝搬で聞こえていたのか不思議な状態でした。

トラブル体験談

実は、今回の移動運用で思わぬトラブルが発生し、運用の全日程を予定通り終えられるか不安がありました。長期間の移動運用では、途中で機材の故障等が発生すると修理が困難であり、事前の点検や、予備機の確保は重要であることを実感しました。実際には対応方法が見つかり、運用への影響は最小限に抑えられました。

最初の運用である、白老郡白老町でローバンドのアンテナを準備していた時、伸縮ポールのロック機構が故障し、最下段が伸びたままの状態で動かせなくなりました。こうなると、伸縮ポールを垂直に立てた状態から伸ばすことができません。伸縮ポールは10年近く使っているもので、以前から摩耗によって異常な動きをすることがあり、点検・修理を怠ったことが原因です。

対応方法に悩みましたが、下から2段目(地面から約2.6m)のロック機構に手が届くよう伸縮ポールを傾けながら先端にアンテナを取り付け、伸ばしながら次第にポールを立てる操作を工夫し、このピンチを何とか乗り切りました。最下段が伸びたままの長さで、車に収納できたことは幸いでした。

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