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日本全国・移動運用記

第40回 南松浦郡新上五島町移動

JO2ASQ 清水祐樹

長崎県南松浦郡は、全域が離島にあり、新上五島町の1町で構成される郡です。HF帯のSSBではアクティブに運用されているものの、CWやRTTYの運用は非常に少ないと伺っていました。

南松浦郡新上五島町での運用記は、月刊FBニュース 2014年7月号にも掲載されたことがあります。当時は伝搬状況が良く、海外とも多くの交信ができたことが紹介されています。しかし、今回の移動運用は伝搬状況が非常に悪い時期で、結果的に国内との交信が中心になりました。運用計画から現地での設営に至るまで、その時との共通点・相違点について紹介します。

運用の計画

2014年5月にJA6TBE局の運用が行われた当時は(以下、2014年7月号の記事とする)伝搬状態が良好で、DXとの交信は絶好調、さらには国内向けにはEスポが発生してHFハイバンドで近距離とも交信できる時期でした。

今回の運用を行った2018年11月は、電離層の状態は最低に近い状態で、DX局との交信は難しくなっています。「エリーとノアの14MHz帯デビューを祝うかのような絶好のコンディション」には、簡単には出会えません。

さらに、日程の都合で、世界的なCWのコンテストであるCQ WW DX Contest CWの開催日と重なり、海外からCWで呼んでくる局は少ないと予想されます。そこで、最近の九州地方での運用結果を参考に、1.9~14MHz CWと3.5~10MHz RTTYに狙いを絞って運用することにしました。

現地への移動手段は、佐世保港―有川港のカーフェリーを利用しました。詳しくは2014年7月号の記事と同じですので、説明は省略します。運用場所は、標高の高い場所からV/UHFの交信も狙うため、これも記事と同じマリンピア展望所としました(写真1)。現地には水道が無く、水は持ち込んだものを使用しました。


写真1 展望台から北東方向の眺め

狭い敷地でのアンテナの設置

車1台がギリギリ通れるほどの幅で、路上に落ち葉や枯れ木が積もった山道を登り、山頂近くの駐車場に到着しました。運用場所は車10台ほどの駐車スペースしかなく、長さが約80mの1.9MHz用ダイポールアンテナは敷地内に収まりません。無理に設置すると、人や車が通った場合に引っ掛かる可能性があります。そこで、駐車場の形状に合わせて、ダイポールアンテナを折り曲げて設置することを試みました(図1)。


図1 アンテナの設置方法

アンテナの給電点付近は、上から見てL字型に展開しました。伸縮ポールはロープを1本追加して3方向から引っ張り、真っ直ぐに立てています。給電点から斜めに下ろしたアンテナ線は、ロープで木に結び付けて固定しました。それより先端側のアンテナ線は、高さ1.5mほどの木の植え込みの枝に引っ掛けるように置いて、植え込みを取り囲むように設置しました。アンテナ線は本当に「置いただけ」で、部品等は使用していません。これで、1.9~50MHzまで使えるダイポールアンテナを設置できました(写真2)。


写真2 運用場所の様子

アンテナを折り曲げて設置すると、直線で設置した場合よりも電気長が短くなり、SWR最小となる周波数が高くなります。それを補正するため、アンテナの両端を延長して目的の周波数でSWRが下がるように調整しました。

このダイポールアンテナは1.8MHz帯にも対応するよう製作したもので、通常、1.9MHz帯で使用する場合は、先端の1.5mほどを折り曲げて結んだ状態にしています。その部分を少しほどいて延長すると、1.9MHz帯でSWRが下がりました。3.5MHzと7MHz用のギボシ端子には、通常の長さよりも延長するためのギボシ端子をあらかじめ取り付けてあります。3.5MHzは直線で設置した場合よりも約1m、7MHzは約0.7m延長した結果、使用する周波数でSWRが下がりました。10MHzから上の周波数でもSWRが少し高かったものの、アンテナチューナーで対応できる範囲内でした。

運用の様子

アンテナの設置を終えると、ちょうど昼の12時。伝搬のコンディションはあまり良くないようで、7MHzから運用を開始しました。伝搬は不安定で、聞こえるエリアは短時間のうちに大きく変化しながらも、まずまずの呼ばれ方でした。13時過ぎには10MHzでもパイルアップになりました。さらに上のバンドに行くと、8エリアが24MHzまで聞こえたものの、28MHzは残念ながら聞こえないままでした。標高が高いため福岡・佐賀・鹿児島などが地表波で良好に聞こえており、これらの地域とは全バンドで交信できました。

15時台は7MHzのコンディションが安定し、1時間で70局。その後は急激に近距離がスキップして聞こえなくなってきて、16時台に3.5MHzへ。西日本は日の入りが遅く、早い時間のローバンドは厳しいかと思ったものの、この時間でも7エリアや8エリアが聞こえていました。

夕方から夜にかけてのHF帯の国内への伝搬は、近距離が強力に聞こえる周波数が7MHz→3.5MHz→1.9MHzのように次第に低くなって、それより高い周波数では近距離がスキップして聞こえなくなる性質があります。この日は日の入り(長崎で17時17分)よりもかなり早い時刻に、近距離が強力に聞こえる周波数は3.5MHzに移っていました。これは伝搬のコンディションが良くないことを意味しており、夜遅い時間になると3.5MHz、さらには1.9MHzの近距離が聞こえなくなる傾向にあります。

予感は的中し、19時を過ぎると3.5MHzも1.9MHzも信号が弱く、交信が難しい状態になってきました。超がつくくらいにレアな南松浦郡の1.9MHzをサービスするため、ぜひとも交信したいところですが、1エリアとは伝搬のパスが無くなってしまったようです。そこで、翌日の早朝にもう一度チャレンジすることにしました。1日目の1.9MHzは16局と交信できました。天気は快晴で風も弱く、夜は快適に過ごせました。

翌朝、朝4時台から1.9MHzで粘り強くCQを出すと、1エリアがQSBを伴いながらも強く聞こえており、16局と交信に成功。7時台に7MHzが聞こえ始めたものの、信号に力強さが無く、パイルアップになりませんでした。10時台からはハイバンドが少しだけ聞こえ始めて、短時間でありながらも14MHzで多くの局と交信。12時頃には7MHzと10MHzしか聞こえなくなってしまい、両バンドを行き来して13時に運用を終了しました。

運用場所での滞在時間は25時間で、交信数は表1の通りでした。14MHz以上の交信は、かなり難しかったことが分かります。DX局は、積極的に狙っていないとはいえ、わずか2QSOでした。


表1 南松浦郡新上五島町での交信数

 

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