Summits On The Air (SOTA)の楽しみ
2025年11月17日掲載
いきなり真夏日が続いていた毎日から冬のような気候に変わりました。富士山も初冠雪をいただき、北アルプスでも積雪が始まっている様子です。寒暖差が大きな日々が続きます。くれぐれも、低体温症に気を付けて晩秋の山を楽しみましょう。
SOTA日本支部は今年の6月1日で発足してから10年となりました。これもSOTAを楽しみ、そして参加することで盛り上げていただいた皆様のおかげです。今回もSOTA日本支部の10年を振り返ってみたいと思います。
SOTAのこの10年間の活動の中で忘れてはいけないことは運用局のマナーの良さだと思います。SOTAのGeneral Rulesでは単純にSOTAのルールが規定されているだけではなく、行動規範として山行や無線におけるマナーやエチケットも厳しく規定されていることが、大きな特徴です。
例えば、アクティベータ―には運用する山頂や通過する山道での環境や建造物へのダメージを与えないこと、ゴミや火気の取り扱い、周りの登山客への配慮など登山家として当然守らなくてはいけないルールも規定されています。またチェイサー側にも過酷な状況の中で運用するアクティベータに対してのロングQSOや不必要と思われる質問、設備の紹介などを極力しないよう求めています。
このようにすべてを明文化することができないような、規律順守がすべてのSOTA運用者に委ねられているため、自然環境との共生、周囲の人々への配慮がすべての面で具現化されてきているものと思います。
一つの例としてSOTAが日本でまだ始まったばかりのころの2016年の話ですが、どの国の誰が設定したのか判りませんが、SOTAのクラスターであるSOTA Watchが世界的に有名なDXクラスターであるDXSCAPEにリンクされ、SOTA Watchでの投稿が自動的にDXSCAPEに投稿されるという問題が起きました。
DXSCAPEを見ている人にとっては、SOTAの運用をしている人がDXSCAPEで禁止されているセルフポストをしているとしか見えない状態になりました。この時、日本の有名なDXerのある方からすぐにこの問題についての連絡を受けましたが、「DXer仲間でもこの状況が話題になっているが、SOTAの人たちがこんなこと(DXSCAPEへのセルフポスト)をするわけがないので何かのトラブルでしょうか?」と聞かれました。私も急な話で驚き、すぐにDXSCAPEを運営している方に連絡をして誰が設定したか判らないSOTA Watchからのリンクを遮断してもらい解決しました。
このやり取りの中で、私がうれしかったのは「SOTAの人達がこんなことをするはずがない」と言われたことでした。当時は、まだまだ無名のSOTAでしたが、SOTAの存在を認め、SOTAをやる人の価値観を理解してくれている人がいるということが心強くあり、とてもうれしい思いをしました。
また、先日10年間登頂が禁止されていた神奈川県箱根町の神山JA/KN-004に登ってSOTA運用をしてきました。

神山はSOTA運用が始まった2015年に発生した大涌谷の小規模水蒸気爆発のあと、危険回避のため登頂が禁止されてきました。つまり都会からアクセスの良い場所にありながら、誰もアクティベーションしたことの無い山として10年間存在していました。そしてついに、この3月に登山道が開放されました。この10年の間ルールを破って神山に登ることも全く不可能ということではなかったと思いますが、SOTA愛好者は誰一人ルールを破って、この山に登り運用した人はいませんでした。このあたりにもSOTA愛好者すべてに自律の精神が宿っているものと思います。
このようないくつかの事例のように「SOTA愛好者=ルールを守る」というプライドが維持できているのは、まさにSOTA愛好者の皆様の行動規範の順守であり、このことにあらためて感謝するとともに、これからもこの精神を大切にしていきたいと思います。
SOTA日本支部ではSlackを使ったコミュニティプラットフォームがあります。すでに100人以上のSOTA愛好家の方々が参加されています。このコミュニティに新たに参加をご希望の方は私宛のメール、ja1ctvアットマークjarl.comでも結構ですし、SOTA日本支部ホームページの問合せのページから連絡を頂いても結構です。登録案内を送らせていただきます。
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