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日本全国・移動運用記

第123回 徳之島移動(3回目)

JO2ASQ 清水祐樹

2025年12月1日掲載

徳之島は、鹿児島市の南480kmに位置する、天城町・伊仙町・徳之島町の3町で構成される離島です。筆者による移動運用は3回目で、過去2回はいずれもこの連載で取り上げています(1回目2019年8月号、2回目2023年1月号)。

前回の運用から3年近くが経過し、移動運用を行う局は依然として少ないとのことで、10月の3連休に合わせて移動運用を計画しました。

全市全郡コンテストを考慮して、変則日程で実施

10月の第2月曜日は「スポーツの日」で祝日のため、土・日・月の3連休になります。このような3連休で移動運用を行う場合、筆者は「土曜日に出発して月曜日に帰る」あるいは「金曜日から始める」「火曜日に帰る」といった日程を組むことが多いです。

しかし、土曜日21時から日曜日21時まで全市全郡コンテストが開催されるため、その時間帯との重複を避けたいと考えました。そこで、木曜日の夜に名古屋(中部)から鹿児島空港に移動して鹿児島で1泊し、金曜日の午前に徳之島に向かう、変則的な日程にしました。日曜日は午前中で運用を切り上げ、その日のうちに帰宅しました。

今回は使える衛星が少ないこともあって、1日の運用地点は最大3か所に絞りました。徳之島の主な宿泊施設や商店は徳之島町に集中しており、天城町の運用場所に移動するには車で45~50分ほどかかります。その地理的条件を踏まえて、無理のない日程を組みました。使用設備や地理的条件は、過去2回の記事で紹介しているので、ここでは割愛します。

10月9日(前日)~10月10日(1日目) 台風23号接近で、運航の可否は直前まで分からず・・・

運用の数日前から、徳之島の東の海上には動きの遅い台風23号が通過中で、飛行機が予定通り運航されるか不安な状況になっていました。直前の予報では、進路が東側に変わったことで直撃は避けられ、到着できるかは不透明であるけれども帰りは問題なさそう、という見通しになったため、とにかく出発の準備を万全に整えました。

10月9日(木)の夜、鹿児島空港に到着すると、生暖かく強い風が吹いており、台風の接近を感じさせました。翌朝の運航を祈りつつ夜明けを待つと、風は強かったものの、雨は弱く視界が良好だったため、飛行機は無事に徳之島に到着しました。到着時の気温は30℃以上で蒸し暑く、しかも強風で、屋外で作業するには厳しい条件でした。

最初の運用場所である徳之島町は、以前にも利用したことがある場所で、広い駐車場があり、強風で物が飛ばされても回収しやすい安心感がありました。ここでレンタカーに機材を設置して、運用を開始しました(写真1)。1か所で長時間滞在するため、1.9~50MHzのアンテナは全てダイポールアンテナを使用し、強風で給電部に負荷がかかって断線することを防ぐため、地上高は低めにして、ワイヤーを緩めて設置しました。

昼過ぎの運用開始で、7MHz帯は国内の近距離しか聞こえませんでしたが、10MHz帯から順にQSYすると、伝搬のコンディションが上がって各バンドともパイルアップが続き、弱いEスポにより28MHz帯でも45QSOができて、まずまずの滑り出しでした。ただし、50MHz帯は1QSOに終わりました。


写真1 徳之島町での運用の様子

続く伊仙町は、前回利用した公園があまり良いロケーションではなかったため、海岸に近い公園の駐車場を目指しました。徳之島では「ハブに注意」の看板を見かけることから、草刈りなどの整備が行われている場所を探したところ、この駐車場は周囲に民家があり、ヤギが飼われていたため、比較的安全と判断しました。夕方になりハイバンドの伝搬は落ちてきたものの、28MHz帯まで交信できました。一方で、日没後になっても1.9MHzは伝搬のコンディションが悪く、交信に至りませんでした。

10月11日(2日目) 強風の中、早朝に徳之島町から天城町へ長距離移動

翌朝、夜明け前に徳之島町の宿を出発して、天城町に向かいました。台風の影響で船の欠航が長期間続いているため、生鮮食品の店頭在庫がほぼ無くなり、朝食は長期保存できる焼き菓子や豆類が中心になりました。

現地は台風接近で暴風が吹き荒れており、アンテナの設置には普段以上の注意が必要でした(写真2)。車のドアや窓を同時に2か所開けると、風が吹き抜けて車内の物が飛ばされてしまうので、1か所ずつ開けるように慎重に作業しました。強風で木の枝が激しく揺れて、折れた枝や木の実のような物が時々飛んで来ました。幸い、雨は本降りにはならず、ドアの内側に大型ビニル袋を貼るなどの、通常の雨対策で十分でした。早朝にもかかわらずハイバンドの伝搬が良く、28MHz帯までQSOできました。

その後、伊仙町の前日と同じ場所に戻り、前日にあまりできなかったハイバンドの運用を重点的に行いました。日中になると伝搬のコンディションが良くなり、28MHz帯で46QSOと、前日に引き続いて10月の運用としては上出来と言える結果でした。夜には再び徳之島町の前日と同じ場所に戻り、1.9MHz帯までの長いダイポールアンテナを設置して、前日に十分できなかった7MHz帯も含めて重点的に運用しました。1.9MHz帯は依然として伝搬のコンディションが悪く、7QSOに終わりました。


写真2 天城町での運用の様子。写真左側後方の樹木が暴風でなびいている

10月12日(3日目) 台風が遠ざかり、好天になるものの伝搬は不調

夜中のうちに台風は遠ざかり、天候は回復しました。まずは伊仙町で運用を開始しましたが、伝搬のコンディションはなかなか上がらず、また前日にハイバンドで交信できそうな局は一通り確保しており、さらには前夜から全市全郡コンテストが始まって多くの局がそちらに参加していると思われるため、QSO数は伸びませんでした(写真3)。

最後は天城町に移動したところ、前日の運用場所は駐車場が満車で、移動途中で見つけた別の公園で運用を開始しました。ここでも伝搬のコンディションが上がらず、CQを出しても応答が無い状況が続きました。台風の接近で、当初はどうなるか心配でしたが、雨があまり降らなかったこともあり、予定通り運用を完走することができました。


写真3 伊仙町の運用場所の様子

結果

運用日、QTH、バンド別のQSO数を表1に示します。3日間(運用開始から終了まで約48時間)で2,000QSOを達成しました。特に、28MHz帯で好調だった時間帯がありました。50MHz帯はダイポールアンテナでの運用だったため、本土への直接波伝搬には力不足で、5QSOに終わりました。


表1 QSO数。1.9~50MHz帯はCW、サテライトはCW/SSB

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