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おきらくゴク楽自己くんれん

その10 リチウムイオンサブバッテリー使用リポート
QSOパーティで毎日移動運用

JF3LCH 永井博雄

皆さん、こんにちは。昨年末グレードアップを重ねてリチウムイオン化に成功した、理想ダイオードを使った走行充電対応簡易サブバッテリーシステムですが「そんなの使い物になるの?」という疑問をお持ちの方もおられるかと思います。そこで昨年から6日間(1月2日~7日)で行われるようになったQSOパーティにおいて毎日移動運用で参加して、その電源としてサブバッテリーシステムがどのくらい使えるのか。実績作りと使用レポートが出来ればと考えました。なお、全日運用すると素敵な景品が当たるチャンスがあるようですが、単に毎日交信するというだけでなく1日20交信以上という目標を設定しました。充電も理想ダイオード回路を使った充電のみとしてシステムとして成立するのかという点も検証していきたいと思います。充電量が足りない時は故意に車の走行を増やすくらいはお許し頂ければと思います。


愛車の2段式になっている荷室下部にサブバッテリーを配置


荷室上部に普段の荷物を置く

1. 先月からの改良点

先月の記事から改良した点は

  • メインスイッチの容量アップ
    給電入切のスイッチが手持ちの6A容量でしたので10Aの格安品を見つけて交換

  • 充電速度の選択を可能に
    電流測定用シャント抵抗で電流制限を行っていましたが、充電速度を選択できるように直列に抵抗を加えてそれをバイパスできるようにスイッチを設けました。これで充電速度を2速化できました。いわゆる「急速充電」というのはこの簡易なシステムでは実現できません。ここでは抵抗器が直列状態(約0.4Ω)での充電を「普通充電」と位置づけしバイパスしての充電を「快速充電」と名付けました。


改良された現在のサブバッテリー回路


手持品の6A容量スイッチを格安10Aのモノに交換


シャント抵抗の奥に0.2Ωのセメント抵抗を追加


充電速度を2段で選択可能

なお先月号の回路図でシャント抵抗の値を0.5Ωとしておりましたが0.5Ωの抵抗を加工して測定する電流値を調整しており、その抵抗値は約0.2Ωであることを後になって気が付きました。この場を借りてお詫びして訂正いたします。結果現状の快速充電と普通充電ではちょうど半分の電流量で充電することになり充電時間も2倍程度になります。これは車を日々どの程度運転する予定か、どのくらい充電出来ればよいのかを考えて適切な充電量になるよう選択・調整できるようになりました。

ゆっくりとした充電の方がバッテリーに優しく性能維持に効果があると思いますので、基本は普通充電モードを選択します。しかし今回の期間中はそんな余裕はないのですべて快速モードを使いました。快速といってもバッテリーがカラの状態で充電制御がかかった車の電圧によりますが、およそ8A程度の充電電流が流れ時間が経つにつれ電流値が下がっていきます。バッテリーのスペックでは最大20Aでの充電が可能な電池でありますが、バッテリーへのストレスを減らす方法としてバッテリーがカラの時は普通モードで充電した方がよいと思います。その場合充電初期はおそらく4A程度の電流が流れます。そのあとしばらくして電流が下がったところで快速モードに切り替えてあげた方がバッテリーのためには良いように考えています。

2. QSOパーティ移動運用の条件を設定

  • 無線機電源は100%走行充電で得られたエネルギーで!
    本装置のみを電源にします。当然ですが家庭のAC電源又はAC電源で充電した蓄電池・発動発電機を使った運用は行いません。

  • 送信出力は出来るだけ50Wで運用する。
    消費電力が多くして厳しい条件で挑みます。もちろん混信回避の必要などがあるときは出力を下げますが基本は50W出力で運用します。

  • 色々な場所・バンド・モードで運用
    期間中仕事のある日も含まれますので運用できる時間・場所が常に変わります。TPOに応じて沢山交信ができるように色々なバンド・モードを選択し運用します。

  • 上記の条件を設定し今回のQSOパーティに挑みました。大晦日はわざと用事を増やしたりして装置の電圧計が14V以上になるように車で走り回り準備を整えておきました。本装置の充電方法ではリチウムイオン電池が満充電となる要件を満たす充電はできないと思っていますが、いままでリチウムイオン電池を使った経験では電池電圧が14Vを上回れば満充電とほぼ同程度の充電はできていると考えています。厳密には差があるかと思いますが専用充電器を使った場合と比べても蓄電量に顕著な差は感じないでしょう。

    運用時のバッテリー電圧(受信中)は
    12.8V以上: 余裕の残量
    12.5V: 定格電圧を切りそろそろ残りを気にしておくべき状態
    12.2V以下: 運用を終えるべき状態
    という感じで捉えて監視していました。
    残量がなくなるとBMS(バッテリーマネジメントシステム)の過放電保護が働き、電池電圧が11.0V程度に下がった時点で予兆なく放電が遮断されます。

    3. いよいよ2022年QSOパーティ本番

    ・1月2日
     奈良県山辺郡山添村移動 運用時間約6時間


    50MHzは5エレ、430MHzは10エレの八木アンテナ

    まずは毎年ローカル局と移動しているおなじみの山の上から始めました。600m程の高さのある所でこの場所は3エリアの各所と2エリアの一部に良くつながる所です。大晦日から元日にかけて雪が降り心配していましたが、前日のうちに融けてくれたようです。いつもの局と新年のあいさつをして運用。50MHz SSBと430MHz FMで運用しました。


    IC-7300MとIC-9700共に送信出力50W設定で運用

    9:00から50MHz SSBでスタート、CQを出し続けていましたが全然呼ばれません。開催期間が延びたので以前のように9:00になったらみんな一斉にスタートという感じは少なくなりのんびりでいいかなという雰囲気を感じました。10:00を過ぎると続けて呼ばれるようになりました。11:00前に20QSOを達成。引き続き430MHz FMにQSYをして毎年QSOパーティでだけでつながるおなじみ局? とあいさつをしながら交信数を増やしていきました。


    50MHz 5エレはエレメント固定に髪を束ねるゴム輪を使用し設営・撤収を簡略化

    やはりFMモードで運用しますと電力をたくさん使うのでサブバッテリー消耗は激しく、あまり呼ばれなくなった15時前には12V台まで電圧が下がったので運用を終えました。これは未だある程度運用を続けることができる電圧です。帰宅するまでの約40分間の走行充電で13V半ばまでバッテリー電圧が回復したので50%程度まで残量を回復することができていたと思います。


    ・1月3日
     奈良県吉野郡川上村移動  運用時間約3時間30分


    この日はの50MHzはデルタループ

    昨日の運用後十分に電池残量を回復できていなかったので、この日は朝早く出発し少し遠い所を目指して走り、残量を増やしてから運用することを考えました。そこで1時間30分くらいをかけて奈良県吉野郡川上村と吉野町との境にある830m程の高さの山の上に向かいました。現地に到着する頃にはサブバッテリーの電圧は14V以上になりましたので、残量は90%以上に回復していたと思われます。十分とは思いましたが念のために20QSO達成までは、電力消費の少ないSSBモードで運用することにしました。デルタループアンテナを使い50MHzのSSBモードを選択。39QSOできましたがまだまだ電池残量があるようでしたので、モービルホイップアンテナを使い430MHz FMも運用してお昼前まで運用。残量を減らす余裕さえ生まれていました。運用終了時には無負荷電圧は12.4Vまで下がり充電残量は25%以下になっていたと思われます。

    帰りには行きと同じ1時間30分程度をかけて走行充電を行い帰宅しました。再び電池残量を増やし次の日への準備を整えることができました。


    偶然にも初日と全く同じバンドで同じQSO数

    ・1月4日
     奈良県山辺郡山添村移動 運用時間約1時間30分

    この日は2日に運用した所と同じ山ですが2エリア方面に開いた場所で430MHzの10エレメント八木アンテナを使いFMモードで交信地域を限定して狙いました。


    2エリア向け430MHz 10エレメント八木

    主に2エリア各県と滋賀県東部と交信することができました。36QSOで1時間30分と比較的短い時間で運用を終えましたので、電池容量は40~50%程度までの消耗で済んだようです。帰宅までの30分程度の走行充電したことにより60%以上まで残量を回復していたと思われます。


    ・1月5日
     奈良県宇陀郡曽爾村(そにむら)移動 運用時間約1時間


    この日は仕事始めですが、あいさつ程度で午前中終え午後から奈良県宇陀郡曽爾村に向かいました。日常の走行と曽爾村に向かうまでの走行で電池容量は十分に回復。運用は7MHzのSSBモードを選択しました。いつも使う移動用3バンドギボシ式ダイポールを通称ビバポールと呼ばれている6m伸縮ポールで上げましたが、コンディションがあまり良い状態ではなくて何とか20QSOを超えることができました。しかしSSBモードで1時間程度の運用でしたのでバッテリー消耗が少なかったので、急遽夜に奈良県桜井市で運用してみることにしました。

     奈良県桜井市移動 運用時間約4時間

    桜井市内よりさらに50m程上がった西向きに開いた高台から運用。ここに移動する間に充電ができましたので容量はほぼ100%まで回復しました。430MHzのFMモードで比較的のんびり交信で約4時間、主に奈良県内・京阪神方面の各局と新年のご挨拶をすることができました。ココでは28QSOでした。


    ・1月6日
     奈良県磯城郡田原本町移動 運用時間約1時間


    通称ビバポールで6mHに上げたダイポールアンテナ

    この日と明日7日は普通に仕事でしたので、今回のチャレンジで一番の難関と考えていました。最悪は仕事終了後、夜間に高台に上がりVUHF帯での運用を考えていたのですが、お昼休憩時間に奈良県磯城郡田原本町の川沿いにある公園駐車場で運用するチャンスを得ることが出来ました。


    上々のコンディションで次々に呼んでいただき、1時間かからずに32QSOすることができてこの日の予定を完了することが出来ました。

    ・1月7日 最終日
     奈良県生駒郡斑鳩町移動 運用時間約30分

    いよいよ最終日。少しでも目標未達成となる可能性を減らしておこうと、昨日に続きお昼休み時間に有名な法隆寺のすぐそばの駐車場から7MHz SSBの運用。しかしコンディションがあまりよくなかったので時間切れとなり4QSOしかできませんでした。


    斑鳩町の公園駐車場で運用するも悪コンディションに勝てず

     奈良県宇陀市移動(夜間) 運用時間約3時間30分

    何としても目標を達成したいので、確実に交信数を稼ぐため元日に降った雪が残る中を740m程の高さの山で運用。斑鳩町から県内数か所を回り夕方まで2時間くらいの走行充電をする時間がありましたので電池残量はほぼ100%。翌日は休みの予定、430MHz FMモードで電池の限界まで運用してみることにしました。


    昼間のリベンジで夜に雪が残る山の上で430MHz

    さすがに最終日です、沢山の方から次々に呼んでいただきすぐにこの日の20QSOを達成。あとはのんびりモードの交信に移りました。運用を開始して3時間を過ぎた頃、送信と同時にバッテリーが遮断されて無線機が使えなくなりました。期間で初めてリチウムイオン電池のBMS(バッテリー・マネジメント・システム)の低電圧保護が働きました。話に夢中になっている間に送信中の電池電圧が11V程度に下がってしまったようです。交信中の相手局に心配をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。しかしエンジンをかけさえすればすぐに運用可能な状態に戻せます。副産物としてIC-9700の25W程度の設定であれば、アイドリング状態発電量で運用電力を賄うことができることも確認することができました。しかしこれはこの日の環境で車が判断した発電量なので、いつもこの通りの発電量があるとは限らないのが現在の軽自動車の一筋縄ではいかないところです。


    4. まとめ

    QSOパーティで毎日20QSO以上運用、合計で274QSOをすることが出来ました。

    期間中は早朝の気温が低い時(0℃以下)に低温保護が働き充電不能に陥り電池を温めたり、運用時間確保の為に仕事の予定や移動地の選択で迷ったり色んな事がありましたが無事に「すべての運用電力は理想ダイオードを使ったシステムで運用する」という当初の目標も達成でき、このシステムの実用性を確かめることができたのが何よりです。本システムで車を走らせるだけの充電で50W出力の長時間移動運用を連日楽しむことが可能であることを確認できました。

    少し気になるのは、車のオルタネーターの電圧が期間中というか寒くなってから負荷が少ない状態では14V台となっていて夏場とは随分違っています。確証はありませんがこの車の充電制御は寒い期間は消費電力が増えるので、積極的な充電制御をしないためではないかと考えております。

    とりあえずこのシステムを安定して運用する方法がつかめたのであとはこの電池性能をどのくらい維持させることが出来るか? というのが課題となりました。運用続けながら確かめていきます。

    これからもこの電源システムを使ってどんどん移動運用に出かけようと思います。皆さん、お相手よろしくお願いいたします。

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