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今月のハム

JH3HYT 園田淳一さん

大阪府河内長野市から18/21MHzのCWをメインにQRPにこだわって、アクティブに運用されているJH3HYT園田さん。子供の頃からアンプやラジオの製作が大好きで、雑誌「ラジオの製作」を愛読していたそうだ。アマチュア無線との出会いも、この「ラジオの製作」だった。そこに掲載されていた「世界中とお話ししよう」、「ハムになろう」といった広告に目が留まり、次第にアマチュア無線に興味を持つようになっていった。そして昭和45年、15歳の時に電話級(現4級)、次の年には電信級(現3級)の免許を取得した。運用はFDAM-3でスタートし、次にFT-200を購入。自作の28MHzの3エレHB9CV、7と21MHzのダイポールで、SSBを中心に国内外の局との交信を楽しんでいた。

しかし、昭和50年に就職すると多忙となり、生活のパターンも変わったことでアマチュア無線の世界から離れることになってしまう。本屋でCQ誌を手にするだけの日々が15年ほど続いた。そんな時、転機が訪れる。現在の場所に引っ越すことになったのだ。新居は高台にあり、西に大きく開け、ヨーロッパやアフリカ方面には障害物がない。園田さんは「これはアマチュア無線をするには絶好のロケーションだ。このロケーションを活かさないのは、もったいない」と直感したそうだ。同時に子供にも手がかからなくなり、時間にも余裕ができた。アマチュア無線を再開する条件は揃った。また、開局当事、QSOしたり、お互いの家を行き来したりするなど親しかった高校時代の友人と、勤務地近くの駅で10年ぶりに偶然再会した。その友人は、ずっとアマチュア無線を続けており、思い出話や無線の話で大いに盛り上がった。この奇跡に近い再会が、さらに園田さんのカムバックを後押しした。

再開当初は21MHzでSSBとCWで運用。ミズホのピコ21(2W)、インバーテッドVを使用していた。「引越しして来てすぐにアマチュア無線の大きなアンテナを上げるのは気が引けたので、テレビのアンテナのステーに見せかけたインバーテッドVを使っていました。当事はコンディションも良く、こんな設備でも海外の局ともQSOできました」とのことだ。

カムバックして、平成5年には2アマ、平成8年には1アマ免許と順調にステップアップしていった。普通はステップアップする度に、送信出力もアップしていくところだが、園田さんは違っていた。逆にQRPの世界に没頭していったのだ。その理由は「CQ誌1970年11月号に庄野氏が寄稿された“Let us QRP! I like the peanut whistle.”という記事が印象に残っていたことと、人と同じことをやっても面白くない」というものだ。当時、所有していたIC-780は仕様上10Wまでしか出力を下げることができなかったため、アイコムの大阪サービスセンターで回路図を見せてもらい、調整の仕方を教えてもらって5Wに改造し、QRP運用を楽しんでいたそうだ。

現在使用しているリグは、CWはアイコムのIC-7300、エレクラフトのK2、KX3、ヤエスのFTDX5000MP、SSBはIC-731。中でも、IC-7300の受信音が気に入っているという。「受信音はK2がベストだと思っていましたが、IC-7300の方が優れていました。フロアノイズから、すっと浮いてくる感じがいいですね。信号に変なノイズや変調が付いていなくて、ダイヤルを回していると、すっと浮いてきて、すっと消えていきます。KX3はヒスノイズが多いかなぁ」と話す園田さん。さらに、「今、一番使ってみたいのはIC-7851、次にIC-7610。Sherwood EngineeringやQSTで高く評価されているので、興味があります」とのことだ。


愛用のIC-7300(写真左)、QRP関連の書籍やDVDが並ぶ(右)

QRPのみで運用を続けることおよそ25年。これまでに、QRPでCQ WW CWコンテスト3エリアでトップ、JAで2位という成果も上げている。「目標はQRPでアジアのトップを取ること」とさらなる意欲を見せる園田さん。さらに、平成13年にはDXCCのメンバーとなり、現在は210エンティティを達成している。


DXCC(写真左上)、WAC/QRP(左下)、1000 MILE PER WATT/21MHz CW(右上)、DXCC Millennium Award/QRP(右下)

近所(窓からアンテナが見える場所)にアマチュア無線局があり、強電界で運用がままならない時もあるという園田さんだが、時間を変えたり、運用バンドを変えたりしながら運用を楽しんでいるという。所属する河内長野市アマチュア無線局連絡協議会の友人、JA3QUU(IC-7600+IC-PW1)、JH3CUL(IC-7800+IC-PW1)はハイパワー志向だが「いろいろとアドバイスを受けつつ、お互いの趣向を認め合って楽しくやっている」とのことだ。またアマチュア無線のいいところは「高校生の時にQSOした人と、45年経った今でもつきあえる。アマチュア無線だけで、こんなに長く付き合える友人ができるなんて、本当に素晴らしいと思います」と話してくれた。

最後に今後の目標を聞いてみた。「目標はWAZ、残りあと2つです。また、DXCCは250を目指しています。もちろんQRPで。QRPなので呼んでも応答がないこともあります。でもパワーを上げようとは思いません。あくまでQRP。もうQRP以外は考えられません」と話す園田さん。弱い信号にお付き合いいただいた皆様に感謝しながら、これからもQRPというわが道を行く。


7/14/21/28のV型ダイポール、10/18/24用の2エレHB9CV、18/21の4エレHB9CV

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次号は 12月 1日(木) に公開予定

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