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Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

第31回 朝日音響株式会社(JA5ZDT)の皆さん

Masacoの「むせんのせかい」 ~アイボールの旅~

高校時代の河野さんは、その後もアマチュア無線を熱心に行いました。お弁当と井上電機製作所(現・アイコム)の「FDAM-2」という50MHz帯のポータブル機を学生カバンに入れて登校し、なんと“授業中”にEスポで北海道の局と話したこともあったとか!! またお金を節約し工夫を重ねながら、さまざまなものを自作して技術を身につけていったそうです。


大切にしていらっしゃるアルバムから、たくさんの写真を見せていただきました。これは1971年、山の上で行った50Mc帯中継装置の実験風景だそうです


FDAM-2の基板を流用した自作受信機も大切に保管しています

社会人になり、大手電機メーカーなどで技術者として働き、その後カラオケのボイスチェンジャーを作っていた朝日音響機器に移り、やがて会社を引き継ぎました。ところが大手メーカーのカラオケ装置が普及し始めたことから、新体制での船出早々に別の分野の事業を開拓する必要が生じました。

そこで思いついたのが、趣味のアマチュア無線を活かした製品。微弱な電波で自動車のエンジンを離れた場所から始動できるという、世界初のマイカー用「リモコンエンジンスタータ-」だったそうです!

周波数は長波の50kHzで、1200Hzの信号をAM変調で載せて送信する仕組み。自動車に取り付けた受信部がこの信号をキャッチするとエンジンがかかる…というもので、寒い日の朝などにはとても便利そう! すぐに共同で特許を取り、「お部屋でエンジンスタートOK!」というキャッチフレーズで宣伝を始めました。


マイカー用のリモコンエンジンスタータ-「スタンバイ」の改良版

しかし、当時の自動車は大部分がマニュアル車。取り付けはオートマ車のように簡単ではなく、しかも車種ごとに方法が異なることなどがネックになり、業界的には注目を集めたのですが「製品の販売権だけが独り歩きをして、残念ながらあまり売れなかった」そうです。

でも、エンジンスターターの開発で培った技術を活かすことで、工場などで使われている産業用機器の無線操縦装置を考案。「ケーブルよりケーブレス」というキャッチフレーズをつけた、世界初のハンディ型無線操縦装置(1981年発売)は大評判となって2015年には累計販売台数が10万台を突破、会社は目覚ましい躍進を遂げました。

朝日音響の社内を見学!!

朝日音響は「開発から製造、販売、修理までをすべて自社内で行う“自己完結型”の企業で、お客様のニーズに合わせた製品を、1台からでも作ります」というのが特徴だそうです。社内のさまざまな部署を見学させていただきましたよ~。


河野さんのご案内で、広い社内を見学させていただきました!

まず見せていただいたのは回路設計と試作基板、そしてケースの製作部門です。技術者の方が専用のソフトウェアを使ってプリント基板を設計し、「切削式プリント基板加工機」という装置で、銅箔が貼られた基板を機械が自動的に削り、試作のプリント基板を作成します。

試作品に載せる電子部品はルーペを見ながら手作業で取り付けていくという、とても根気の要る作業だそうです。完成した試作機版はさらに検討や改良を加えて、量産品の製作が行われます。


回路設計や基板の設計も社内で行っています


「切削式プリント基板加工機」。銅箔が貼られた基板を機械が削りながらプリント基板を作っていきます


一番下が切削式プリント基板加工機で作った試作品の基板。上2つは量産品のプリント基板(下の試作品基板とは別のもの)です

続いて見せていただいたのは、3Dプリンターを使ったケース設計の現場です。3次元CADでケースを設計したら、社内にある3Dプリンターで試作。時間も費用も大きく削減できたそうです。


3Dプリンターの導入でケースの試作も早く、安いコストでできるようになったそうです


3次元CADと3Dプリンターで試作したリモコン装置のケース


精度が必要なものや金型類は、社内にあるマシニングセンターという機械で作成。柔らかいカバー(写真の右側)は、マシニングセンターで樹脂型を作って、シリコンゴムを流し込むことで製造できます


作成した基板の試験や調整を行うための治具もマシニングセンターで作成。精密なのに早く、しかも低コストで作ることができたそうです

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