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おきらくゴク楽自己くんれん

その52 モバイルシャックの太陽光パネルをパワーアップ

JF3LCH 永井博雄

2025年9月1日掲載

3. 移動体での太陽光発電の考察

よくある太陽光発電施設のパネル仰角は関東や関西では30°としている所が多いようです。北に行くほど角度がつき、北海道では40°くらいになるそうです。これは春夏秋冬、日の出から日没まで太陽の位置を考えてのことなのですが、パネルが固定されているので妥協の産物ともいうこともできます。

発電施設と違い車中泊仕様の乗用車やキャンピングカーの場合は、日の当たる場所に移動ができるという利点があります。極端な話、雲がかかり発電量が落ちたりすれば、日の当たる場所に移動すれば良い状態での発電を続けることができます。移動ができるというのは大変大きなメリットです。

しかしパネルの設置で問題がひとつ。車中泊車やキャンピングカーの場合、屋根に合わせて水平に取り付けられているのが一般的です。これはパネルの設置面積の確保と飛来物など避けるためと思います。しかしこれは発電効率を考えるとあまりいい状態とは言えません。

日本では北回帰線(約23度)より緯度が高いので、真夏でも太陽が真上に来ることはありません。真夏正午で約78°です。つまり水平設置では、真夏に最良の条件で発電することができないことになります。最も78°でも最高出力に近い値で発電ができるのですが、日が傾くと共に落ちる発電量は90°から落ちていくのと比べると早いペースで落ちていくでしょう。暑い時に日射を受けるとパネルの温度が高くなり発電量は下がるので、その点で理想条件ではないのですが、これも真昼より少しずれた気温の低い状態で90°に近い日射を受ける方が効率は良いと言えるのではと考えます。


平置き状態で効率よい状態

加えて問題なのは日の出後・日没前や冬の日照状態。太陽の角度が低くなると極端に発電量が落ちてしまいます。例えば20°程度になるとたとえ日向であっても発電量は20%以下に落ち込んでしまいます。日没前もう少し発電させたいと日の当たる場所に車を停めてもその行為に見合う電力は得ることは難しい訳です。


平置き状態での日の出直後、日没前

正直水平設置では冬場は使い物になるのだろうか? と疑いたくなる感じです。その為一般的な車中泊愛好家やキャンピングカーオーナーのみなさんは使用する電力に比べ、大変大きな容量のパネルを搭載している方が多いように思います。

4. 運転席屋根上設置の場合

それでは今回の設置方法でも発電を考えてみます。下図のように太陽が十分高い位置になくてもパネルに対して90°に近づけて発電させることができます。


屋根上設置の入射角

しかもそれぞれのタイミングで車の向き変えが必要ですが、このおいしい時間帯が一日に2度午前と午後に訪れます。これは天気の変化にも対応ができることを示しています。当たり前ですが天候は一定しませんので。午前は晴れで午後に崩れるとか、午前は曇りだが午後に回復する日などにもおいしい時間帯での発電チャンスを多くつかむことができます。

太陽が低い時にも水平設置に比べメリットがあります。先に書いたように水平設置では太陽が水平線に近い時にはほとんど発電が期待できません。ゼロではないですが最大時と比べて10%を切ったりします。


日の出後、日没前でもある程度の発電を期待できる

そんな時でも35°の角度があれば、ある程度の発電量が期待できます。100Wパネルを使っていた時の事ですが、道の駅 あゆの里 矢田川からの帰り道に立ち寄った道の駅の駐車場。夕方、西日の強い所で西向きに駐車して1時間程度休憩して帰ってくると60Whほどの発電ができました。175Wパネルであれば、同条件なら1時間で100Whを超える発電が可能になるわけです。水平設置ではこれほどの発電はできないでしょう。

ここまでFBな事ばかりを書いてきました。デメリットとしては北向きに走っていく時はほとんど発電を期待できません。移動運用の帰り道、吉野から奈良まで走った時(走行方向は北上)は、ほとんど発電してくれませんでした。当たり前ですね。ほとんどパネルが北を向いている訳ですから。それでも途中休憩など停める向きを考えれば少し発電はできたりします。

最後になりますが、この実験は正面方向に太陽光パネルを向ける設置で走行時に飛来物などによりパネルが破損する可能性がある事を織り込んで行っています。常に飛来物などがパネルに当り破損し発電不能に陥ることは考えておかなければなりません。幸い今までにそのようなことは発生せずにすんでいます。

まれにフロントガラスに飛来物が当たり、ヒビが入って修理費に悩む方がおられますが、それより確率が高いかもしれませんし、低いかもしれません。心がけとして普段から前車との車間距離を十分とるなどして気をつけて走ることで、ある程度はトラブルを避けることができるのではないかと考えております。

それではまた。

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